月刊コミックバンチにて2013年10月より連載中の『応天の門』。この作品はマンガ家・灰原薬先生による、歴史上の人物を元にしたヒューマンサスペンスです。
今作の主人公は、太宰府天満宮に祀られている学問の神・菅原道真。文章生と呼ばれる学生の身分である彼と、20歳以上年の離れた近衛権少将・在原業平。彼らが共に朝廷内で起こる事件を鮮やかに解決していく物語となっています。
事件解決の糸口は全て人の理(ことわり)の中にあり!
この物語の見どころの1つが、主人公・菅原道真の鮮やかな事件解決の手腕。幼い頃より秀才として育った彼が、持ち前の知識を総動員して朝廷内で巻き起こる事件を解決していく様はまさに圧巻となっています。
ストーリーの舞台は平安時代。まだまだ鬼や妖怪といった、人成らざる者が大いに信じられていた時代です。その中でも菅原道真は、事件の発端はすべて人の手にある事を信じて疑いません。
闇に紛れ貴族や姫君を襲う不気味な存在や、夜な夜な市井を騒がせる不可解な現象。いわく付きの怪しげな道具には、本当に人を呪う力があるのか?等々…。化学も発明も今よりずっと進んでいない時代にどのような手法で、彼が己の元に舞い込む難題を次々と解決していくのか。その展開は、ぜひ皆さん自身の目で確かめて頂ければと思います。
「月刊コミックバンチ」1月号本日発売です♫ 12月7日に第10巻が発売となる「応天の門」の最新話は「菅原道真、米算用をする事」。昭姫に店の手伝いを頼まれた道真は……?そして今回は宣来子が活躍(?)する番外編も!
さらに「応天の門」展や新グッズの情報もありますので是非ご覧ください! pic.twitter.com/YteMROwaKR— 月刊コミックバンチ_公式 (@Bunch_Shincho) November 21, 2018
雅で優雅な平安時代…当時の生活のリアルも学べる!
また歴史物漫画なだけあって、この作品は当時人々の生活や習慣についてもかなり詳細に描かれているのも興味深いポイントです。宮中の人々が、どのような1日を過ごしていたのか。仕事や休日はどんなふうに過ごしていたのか。さらには様々な書物で伝えられる、平安時代のロマンチックな恋愛の意外な実情まで。
単行本内に収録された、作品の監修を務める東京大学史料編纂所の本郷和人先生による解説コラム。こちらもあわせて読んで頂くと、よりその面白さを知ることができるのではないでしょうか。
【9月新刊】『応天の門』第13巻本日発売です🏵
源信の家人・土師忠道と出逢った道真は、伴善男の策略に嵌められた彼を助けることになりーー?
番外編は、菊にまつわる重陽の節会のお話!ぜひお手に取ってご覧ください🌼
📚試し読みはこちら📚https://t.co/rN45jGqAFv pic.twitter.com/da2Mk1KIRd— 月刊コミックバンチ_公式 (@Bunch_Shincho) September 9, 2020
少年・菅原道真の成長を見届けよう
そしてこの物語最大の見どころは、やはり菅原道真の成長。皆さんご存知の通り、彼は死してなお学問の神様として祀られるほど、元々知性や教養を兼ね備えていた人物です。
本作で登場する彼も、そんな実際の人物像が大いに反映された人となりとなっています。その影響もあって作中初期の彼はどことなくひねくれた、ともすれば自分以外の多くの人間を賢くないと下に見たり馬鹿にしているような少年でもありました。
そんな彼が変わってゆくきっかけとなったのが、バディとなる在原業平との出会いです。彼との出会いで大人になる自分を待ち受ける、魑魅魍魎が跋扈する藤原の世の政治の世界を徐々に知る菅原道真。世の中には、力や知識を持ちたくても持てない人間がたくさんいる。
あるいは、力や知識を持っていても、正しい使い方ができない人間がたくさんいる。その中で、力も知識も持つ自分に出来る事は一体何なのか。
少年らしい菅原道真の葛藤と、意識的か無意識か知らず、彼を導く存在の1人となる在原業平。2人がそれぞれ1人の人間として、平安の世に宮中で生きる男として、互いにどのような生き様を見せてくれるのか。彼らを巻き込んだ激動の人間模様から目が話せない、そんな作品ともなっています。