『潮が舞い子が舞い』は、『月曜日の友達』(「このマンガがすごい!」2018オトコ編4位)の阿部共実先生の最新作です。別冊少年チャンピオンで連載しているほか、マンガクロスで1〜3話と、マンガクロスオリジナルのエピソードが読めるようになっています。
不器用な少年少女を描いてきた阿部共実先生の魅力が、本作にもたっぷりと詰め込まれています!
田舎町の青春群像コメディ
潮が舞い込む海辺の田舎町に住む、何事も微妙にうまくいかない高校生たち。
彼らの日常は不器用でおかしいけど、どこか共感できる場面もあります。
狂気的なセリフ回し
阿部共実先生といえば、独特なセリフ回し。
不器用なキャラクターたちが一生懸命に自分を表現しようとした結果、空回りしている様子がおかしく、彼らの言葉はいつまでも頭から離れなくなります。
今回は1巻5話の、「真鈴バーグマン」という女の子のエピソードを例に紹介します。
pic.twitter.com/CFaBMXkeum— 阿部共実 (@ab_t) February 24, 2020
バーグマンはクラスの友人に、「挨拶をする意味がわからない」という話をします。常識なはずの挨拶に、
「善行の強制」
「私このゲーム(挨拶)に参加するって同意した記憶ないんですけどお!」
と言いたい放題。ここまででも独特ですが、バーグマンが
「じゃあ私が作ったゲームにも社会はのってくれるのか」
と、自分なりの新しい挨拶を作り出した時のセリフは、より狂気が増しています。
私がボボンガ!って言ったら言われた被ボボンガ者(しゃ)は即座にガンガガゴンガガ!ってボボンガ者に返事して それを確認した最寄りの第三者はボボンガ者とベロベロリンガー!って合わせて咆哮する!できなかったら人間失格ですよ!
聞き慣れない言語ばかりで頭が混乱してきます…。挨拶はおかしなこと、という問題提起が謎の言語を生成してしまう。日常を普通に生きることを拒否した、バーグマンのクレイジーさが詰まった名言です。
※ちなみに、このエピソードの後日談は阿部共実先生がTwitterに投稿して下さっています。
挨拶 pic.twitter.com/HTilBYYXF3— 阿部共実 (@ab_t) February 9, 2020
暴走に寛容な世界
そして、基本的にバーグマンが言ったような言葉には、ローテンションなツッコミが入る以外、特に問題なくストーリーが進行していきます。そうした暴走に寛容的な雰囲気になっていることで、毎回「ボボンガ」のようなクレイジーなセリフが飛び出す本作。
バーグマン以外にも、全てのキャラクターが癖になるセリフを放ち続けます。単行本を読めば、必ずや一生頭に残るクレイジーなセリフに出会えるでしょう。
👉マンガクロスで1〜3話と、マンガクロスオリジナルのエピソードを読む
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