『花と頬』は、高校生の女の子・頬子(作中ではホホコ | 以降記事中ではホホコとして表記します)さんを軸にした父と娘、母と娘、好きな人と自分、好きな人の好きな物が織りなす複雑な愛のカタチを描く青春群像です。
第23回文化庁メディア芸術祭マンガ部門で新人賞も受賞し、マンガ家の西炯子(にしけいこ)先生からは次のようなコメントが贈られています。
当たり前のことに光が当たる時が来た。そう感じた作品である。マンガの描き手の、版元の、読者の、長らくの忘れ物がここにある。
有名人の父と付属品のような私
『花と頬』というちょっと知られた音楽バンドをやってる父を持つホホコさん。ホホコという珍しい名前がきっかけで、声をかけてきた男の子・八尋(やひろ)くんは、父のバンドの大ファンでした。会話ができない図書館で、ノートを通じて筆談を繰り返すうちに、ホホコさんは八尋くんに惹かれていきます。
この度、第23回文化庁メディア芸術祭マンガ部門にて「花と頬」が新人賞を賜りました。https://t.co/F9GX3VNI08 pic.twitter.com/zNI3jFVikp— イトイ圭 (@itoikkk) March 6, 2020
父の娘としか思われていないのはイヤだけど、八尋くんに喜んでもらうために父の話をしてしまうホホコさん。そんなホホコさんを見ている父も娘を想って悩みます。
愛してるってなに?
ホホコさんは父と二人暮らしで、お母さんとは一緒に暮らしていません。お母さんの話をすると、みんなが悲しそうな顔をします。しかし、父の指には今も結婚指輪がはめられていました。
『花と頬』では、親子や夫婦、恋人や友だちという関係の中で、それぞれの立場から誰かを愛するという、同じものが一つもない愛のカタチが描かれています。
6月30日発売、ですが早い書店では発売が始まりました「楽園」第33号からご紹介その10はイトイ圭「あなたとは眠れない」。発売&配信中の話題のコミックス『花と頬』の作者による読み切り連作シリーズ第2話です。 pic.twitter.com/AOhAjh1XTr— 楽園編集部 (@rakuen_info) June 28, 2020
一番遠くて一番近いところにいる存在は、もしかしたら家族なのかもしれないですね。
生きていることが愛おしくなる
あとがきにもあるように、この物語は劇的なハプニングやトラブルが起こるわけではないです。ただ静かに日常がつづく中で、登場人物たちが自分の人生をしっかりと主張してくるような、人が生きている実感を感じられるところがとても好きです。
手元に届きました!載ってました!ありがとうございます!
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新しいコミックスのデザイン。https://t.co/tVgRi8Q2Xe pic.twitter.com/YqBpAiKO5X— イトイ圭 (@itoikkk) June 25, 2020
あとがきも見逃せない!
あちこちの出版社に持ち込んで「商品として成り立たない」と言われ自費出版も考えていたところ、恋愛系コミックをまとめた「楽園」でウェブ連載を果たし、書籍化されました。
「花と頬」のイトイ圭、楽園で連作読み切り始動「あなたとは眠れない」https://t.co/a5mqFVO7s0 pic.twitter.com/z1qoVWHUNR— コミックナタリー (@comic_natalie) February 29, 2020
作者のイトイ圭先生は、この作品は三人くらいしか読んでないだろうという気持ちで描いたとのこと。たとえ周りで誰も読んでなくても、自分だけは読んで噛みしめたい作品です、ぜひ読んでみてください!
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