菌と鉄

片山あやか/著

『菌と鉄』第一巻発売!キノコに支配された世界で今、叛逆の狼煙が上がった。

「アミガサ万歳!」そう叫ぶ人間たちは、感情や行動をもキノコによって支配されていました。待望の第一巻が2021年7月9日(金)に発売となった片山あやか先生の最新作菌と鉄は、そんな菌類が生物の頂点にいる世界が舞台となっています。

別冊少年マガジンで連載中の本作、一話ごとに奥深くなる世界観や、この世界で生きる対アミガサの反逆者たちの「世界を変える」ことへの熱望が読者を『菌と鉄』の物語に引き込みます。

第一話から待ったなし。怒涛の展開を見せるこの物語の魅力に迫っていこうと思います。

あらすじ

食物連鎖の頂点はキノコ。人類は世界政府「アミガサ」の支配下におかれ完全管理社会で暮らしていました。彼らは一生同じ場所で、同じものを食べ、会話もろくにせず暮らすことになんの疑問も抱いておらず、さらには感情を命令通りに変化させることができました。

そんな社会で失読症で字の読めない主人公・ダンテはまさに異色の存在。彼はこの生活に不満を抱き、「怒れ」という指示で怒り出す仲間たちを見て笑い出してしまう、「危険思想」の持ち主でした。彼が処罰されずに生き延びたのはその高い身体能力のおかげだったのです。

ある日、反乱組織「エーテル」を殲滅する極秘任務でエリア外に出ることになったダンテ。念願だったエリア外、そしてそこでダンテは一人の女の子・アオイと出会います。彼女は「エーテル」の一員でした。

この出会いを機にダンテは、管理社会の中で息を潜め「世界の理」を壊すための戦いに身を投じていくのでした。彼は人類叛逆の希望となることができるのでしょうか。

超常的な力で支配される人間たち

ダンテは、自分の目の前で岩が崩れ複数の「エーテル」の隊員が、「同時に」死ぬ光景を目の当たりにします。自然災害がまるで引き起こされたように発生し、人間達の命が奪われる光景に、この世界の支配構造の強さを突きつけられました。

そもそも、全ての人間は脳に「アミガサタケ」の菌糸を埋め込まれていて、この菌糸が脳をコントロールしています。その技術の多くは解明されていませんが、この支配から逃れることのできた一部の特殊な人間たちが、意思を持ち「エーテル」として世界の転覆を目指しているのです。

敵の力は圧倒的、しかし彼らの意思は固く、そして熱い。それぞれがその命を賭し、勝利のために戦っています。意思の込められた彼らの言葉は心のあり方が強く反映されたものばかりで、胸に刺さります。

もぎとった叛逆のための力

「アミガサ」の高い科学技術は下層の人間には与えられていませんが、「エーテル」はその技術を盗み出し、戦うための力にしました。この能力がなんともワクワクする設定になっています!

その力の使い方とは、「常人より多くの菌糸を脳に寄生させ、金属を合成させる」こと。これにより、体を支配していた「アミガサ」を逆に支配していきます。全身の筋肉が鉄化し、そして味覚や痛覚のコントロールなど神経の通るところなら体を自由に変化させることができるようになるのです。

この超人的な能力を持ってして繰り出される攻撃は、まさに一撃必殺。鉄化意外にも能力は多岐にわたっており、今後も起こるであろう戦闘が楽しみです。迫力満点の戦闘シーンで、思いのこもった一撃はどんな敵を穿つのでしょうか。

「心」や「人間性」が支配に打ち勝つ

支配への拒絶心、自由への渇望、世界転覆への意思、希望へと託す決意。

「エーテル」のメンバーはこの世界において、唯一「人間らしさ」を持った人間たちです。「心」や「人間性」をどこまでも信じ、この世界に確固たる「NO」を突きつけ戦い続けます。

生きてまた必ず会おう 約束だ

引用元:片山あやか『菌と鉄』

人が人であること、人を思う気持ちが何よりも強いことを信じ、必ずこの世界に打ち勝とうとする姿に何度も勇気づけられました。その道は辛く険しいものかもしれませんが、ダンテの目に映るのは確固たる希望への道のみなのです。

⚪️初版限定特典

片山先生がアシスタントをしていた進撃の巨人の作者・諫山創先生の描き下ろしイラスト付き!
7月9日(金)の第一巻発売の今だけのコラボ企画ですのでこの機を逃さないよう、お気をつけください。

第一話〜第二話までの試し読みはこちらからどうぞ!

「逆に戦わないのは何で!?」

菌と鉄(1) (週刊少年マガジンコミックス)
片山あやか/著

OGP画像はマガポケ『菌と鉄』掲載ページOGPより
https://pocket.shonenmagazine.com/episode/3269632237276098910