Paradise Kiss

矢沢あい / 著

『Paradise Kiss』ますますファッションが好きになる。もっと個性を!もっと自分をモードで飾ろう!

ファッション誌「Zipper」にて連載されていた矢沢あい先生による『Paradise Kiss』。前作『ご近所物語』からの続編でもあるこの物語。北川景子さんや向井理さん出演の実写映画となったことも、一時期話題を呼びましたね。

主人公は進学校に通う高校三年生の早坂紫。彼女がひょんなことから矢澤芸術学院に通う「パラダイス・キス」の面々と関わるようになり、その中で自分の道を模索していくお話となっています。

何と言っても個性豊かなキャラクターが魅力!

この作品の一番の魅力は、やはり揃いも揃ってパンチの強い個性的な登場人物たち!主人公の紫ももちろんですが、彼女の運命を大きく変えるトリガーとなるジョージこと小泉譲二。そしてジョージ率いるグループ「パラダイス・キス」の櫻田実和子、永瀬嵐、そしてイザベラ。

ロリータやゴシック、そしてパンクス。彼らのパンチの強さはアバンギャルドな見た目だけでなく、もちろん彼らの性格にも滲み出ています。

良く言えばマイペース、悪く言えば我が強い彼らに当初は振り回されっぱなしだった紫。ですが徐々に彼女自身もまた、非常に強い自分の芯を貫くようになっていきます。

ファッション誌連載だからこそ…作中のお洒落なファッションにも目が釘付け

元々この『Paradise kiss』はマンガとしては珍しく、ファッション雑誌で連載されていました。物語の舞台が服飾の専門学校、矢澤芸術学院であることも相まって、作中に登場するファッションも目を引く素晴らしい衣装ばかり。

登場人物の衣装はもちろんのこと、ジョージ率いる「パラダイス・キス」の面々が制作する衣装に憧れを持った方も多いのではないでしょうか。

普段ファッション誌を読むことが好き!という人々にとっては、服を作る人々や魅せる人々の裏側事情もほんの少し垣間見ることができる本作。それによってますますファッションが好きになる作品、と言っても過言ではないかもしれませんね。

恋や将来…様々な思いの中で揺れ動きながらも、胸を張って自分で決めた道を歩く

そんな中でもこの物語の一番の見どころは、やはり変わっていく主人公・早坂紫の姿です。

矢澤芸術学院に通う「パラダイス・キス」のメンバーは、デザイナーやパタンナーなど若くして自分の夢ややりたいことにひたむきになっている人ばかり。彼らと関わるうちに親の言われた通りにこれまでなんとなく生きてきた自分を、紫は見つめ直すこととなりました。

親の希望、今の環境、そして気付いてしまったジョージへの想い。様々な気持ちの中で揺れ動きながらも、最後に紫が選んだ道は紛れもなく、彼女が自分自身が選んだ道でした。

きっと誰しもが一度は通ったことのある「自分が本当にやりたかったのってこれなんだっけ?」という問い。中にはそれを自身に問いかけた上で、やりたい事をやっていては生きていけない、という答えを出した方もいることでしょう。

ですが、現在どんな形の答えを出していたとしても。その問いと真正面からぶつかったことのある人にとっては、きっと読んでいるうちに少し胸が熱くなってくるお話なのではないでしょうか。

読み終わった後、少しだけ自分の背筋が伸びるようなマンガ

自分のやりたいことを貫き通すにしても、やりたいことを諦めて違う道を選んだとしても。大事なのは、それをちゃんと自身の手で選んで掴み取ったか?ということです。

それさえ忘れなければ、きっとどのような未来が待ち受けていても後悔なんてしないはず。後悔をしない生き方をするために、この作品は私たちに大切なことを教えてくれるのではないかと思います。

マンガからでもファッションに触れられる!

Paradise Kiss (全5巻) Kindle版