『SHIORI EXPERIENCE ジミなわたしとヘンなおじさん』は月刊ビッグガンガンにて連載中の作品です。
地味で目立たない普通の高校教師に、ある日伝説のギタリストの幽霊が取り憑くというとんでもない設定と、そのインパクトに負けず劣らずの確かなストーリーテリング。そしてマンガならではの表現方法が、まるでジャムセッションのようにベストマッチ！
本記事ではこの作品の魅力に迫ります。
伝説のミュージシャンと、自分だけの伝説を作れ！
主人公は地味で平凡、人よりちょっと貧乏な英語教師、本田紫織。
10年前にバンド活動で莫大な借金を残して蒸発した兄の借金を返すため、過去の夢を諦めて生活に追われる日々を過ごしています。
そんな彼女が27歳の誕生日を迎える前日。過去の夢を振り返るためクローゼットを開けると、中からアフロ姿のヘンなおじさんの亡霊が突如現れるのです。
このおじさん、実在した伝説のギタリスト、ジミ・ヘンドリクスの亡霊！そして後日、紫織は彼にこう告げられます。
「27歳が終わるその時までに、伝説を残さなければお前は死ぬ」、と。
ここから紫織は、伝説を残すため、そして何より自分自身の夢を叶えるために奔走することになります。
普通の高校教師×伝説のギタリスト×伝説を残すまでのタイムリミット、という状況設定が面白く、物語にすぐ引き込まれてしまいます。
シオリエクスペリエンス第1話全92ページ、驚異の全21ツイートにて大公開！
この魂の叫び（ブルース）を今すぐ体験（エクスペリエンス）！！
その1 pic.twitter.com/631KC9oiyQ— シオリエクスペリエンス（ジミ＆ヘン） (@shiorijimi) April 5, 2019
また、物語が進むにつれてそのスケールはどんどんと膨らんでいきます。音楽ファン垂涎の奇跡といえるような出来事まで、この物語は転がり続けていくのです！
心震えるストーリーを彩る抜群のマンガ表現！
音楽マンガで気になるポイントと言えば、演奏をどのように読者に伝えていくのか、その表現方法です。この作品では、マンガならではの多彩な表現で登場人物たちの演奏の魅力を伝えてくれます。
本作の演奏シーンでの、演奏者の一番「決まっている」瞬間を静止画として切り取るような描き方がもう最高にかっこいい！
ギターをかき鳴らすその一瞬、観客と一緒になって読者の私達まで目も心も奪い取られてしまうようです。
シオリエクスペリエンス第1話大公開！
その18 pic.twitter.com/DQFQ79aSC9— シオリエクスペリエンス（ジミ＆ヘン） (@shiorijimi) April 7, 2019
また、ライブの盛り上がりを比喩表現として描く方法も必見です。
演奏会場が爆発したり、洪水が押し寄せてきたり、竜巻にあったりしているように魅せる描写は、ライブに行った際に感じるあの衝撃を思い起こさせます。
魂の叫び（ブルース）を掻き鳴らせ！ジミヘンが私たちに伝えてくれること
そしてこの作品が伝えてくれること。それは、自分が心から望むことを突き通す美しさです。
紫織に取り憑いたジミヘンは、事あるごとに登場人物たちへこう語りかけます。
「魂の叫び（ブルース）に従え」、と。
この作品の登場人物たちは、心の声をどこかで押し隠してきた人たちです。
その理由はそれぞれ親からの抑圧であったり、周囲からの好機の目であったり、自分自身が抱えるコンプレックスであったりします。
どれも「わかる…！」と声が出てしまいそうな、等身大の悩み、まさにブルース（悲しみや、孤独感を表現する音楽）です。
しかし彼女たちは、楽器を持つことでそれら自分を縛っていた鎖を打ち破り、そして押さえつけていた自分自身の心の声を高らかに歌い上げていくのです。
まさにこの作品が伝えてくれるのは、心の叫びをぶちまけろ！という音楽の初期衝動そのものなんです。皆さんも是非、この作品でアツくなってみませんか？
▼第1話はこちらから試し読みできます！
