adabana-徒花-

NON / 著

『adabana-徒花-』女子高生が親友を殺した理由を巡る猟奇殺人サスペンス

adabana-徒花-』は田舎の高校に通う女子高生・藍川美月(ミヅキ)が親友の五十嵐真子(マコ)を殺害・切断した後、自首するところから始まるサスペンスドラマです。

作者は『ハレ婚。』のNON先生で、作画の美しさも本作の魅力の一つです!単行本についているカラー絵がコワ美しい!

親友殺しの理由

真面目な母親から受験のプレッシャーをかけられつづけていたミヅキは、奔放で明るいマコと出会います。活発で誰からも愛されるマコと一緒にいることで、ミヅキは自分の枷が外されていくような気持ちを感じていました。

ミヅキの父親は行方不明、マコも早くに母を亡くして生活を支えるために叔父さんの店でアルバイトをしていました。家庭環境に恵まれなかったせいか彼女たちはとても仲良く、一緒に東京まで遊びに行こうと計画するほど、いい関係を築いていたのです。

それなのに、警察でマコ殺しを自供したミヅキは「バラバラにしたほうが隠しやすいと思って」マコを切断したと言うのです。

もう一つの殺人とストーカー

マコが死亡するよりも前に、二人にとって身近な人物の殺人事件が起こっていました。さらに、マコをストーカーしていた元彼の存在も明らかに。

そもそも行方不明とされるミヅキの父親には何があったのでしょう。母親が父親の経歴を気にしていることから、世間的に良いキャリアの持ち主だったようです。なのに行方不明になってしまっているというのは、マコ殺害のずっと前に事件につながるできごとがあったのかもしれません。

それぞれの視点で語られる人物像

物語は視点が切り替わりながら進んでいきますが、人物の性質が見る人によってちょっとずつ違うんですね。陰湿に思える人がある人物からは誠実そうな人に描かれていたり、ほかの人からは恐怖の対象になっていたり。

家族の前と友達の前で話し方が変わるように、一緒にいる人によって話し方や振る舞いが変わることはよくありますよね。本作では、ある人物を別の人物の視点で見た時に描かれ方がすごく違っていて、読者としてすべての人物の視点を見た時、その人物がどんな性格かを一言で言うことができないのです。

人間の多面性がさまざまな人の目線から描かれていて、それがそれぞれの人物の行動にも影響を与えています。そのため「この人物からこの人はこう見えてそう、だからこういう反応になる」といった感じで、登場人物の気持ちを想像をしながら読むとさらに深く読み込めておもしろいですよ!

徒花とは?

徒花(あだばな)というのは、実を結ばずに散る花のことです。中身が見た目に伴っていないことや、見せかけだけで結果を残さないような時に使われる言葉です。

高校生で命が失われたマコ。また彼女を手にかけたと主張するミヅキ。彼女たちの人生は実を結ぶ前に大きく変わってしまいました。しかし、上巻ではミヅキが実際にマコを殺したシーンは、はっきり描かれていません。自供したミヅキは本当にマコを殺した犯人なのでしょうか。

事件の真相とミヅキの本当の気持ちが気になります!

NON先生の作業風景がのぞき見できる!

クリエイターが、作業中を淡々とライブ配信するサービス「00:00 Studio(ふぉーぜろすたじお)」で、NON先生が作業中の様子を配信されています。徒花の作画の様子や制作の裏バナシが一足早く聞けちゃうかも!ぜひこちらもフォローしてみてね!

親友の死の真実とは⁉

adabana 徒花 (上) (ヤングジャンプコミックスDIGITAL)
NON/著