おおきく振りかぶって

ひぐちアサ/著

コマ投稿OK

『おおきく振りかぶって』野球部マネージャー視点で語る!野球初心者にこそ読んで欲しい魅力の数々

野球を知らない人にこそオススメしたいマンガがあります。それは青年雑誌アフタヌーンにて2003年から連載しているひぐちアサ先生による『おおきく振りかぶって』です。

第31回講談社漫画賞を受賞した本作はテレビアニメ化や舞台化もされており、現在でも根強い人気を誇っています。

物語は硬式野球部を新設したところからスタート。西浦の球児たちと高校野球を一緒に学べる、まさに野球初心者におすすめのマンガなのです。

今回はそんな『おおきく振りかぶって』の魅力を元野球部マネージャー視点で語り尽くしたいと思います!

もちろん、この記事も野球初心者さん大歓迎ですよ!それでは!

おおきく振りかぶって

野球部あるあるが満載で小さなコマまで見逃せない!

『おおきく振りかぶって』の大きな魅力はなんといってもリアリティ溢れる描写の数々。再現度の高い描写力で、読みながら高校野球の世界をリアルに体感できます。

試合シーンや心理描写などももちろんなのですが、今回はマネージャー視点でリアリティを感じた野球部あるあるのシーンをご紹介します!

最初はこちらのシーン。練習前のジョギングで汗だくになった水谷文貴(みずたにふみき)が水道で顔や頭を洗っています。

おおきく振りかぶって

これ、筆者である私が実際にマネージャーをしていた時によく見ていた光景なんです。

練習で汗をかいた時はこうして近くの水道で汗を流します。練習後は持参したシャンプーで洗髪をしていた部員もいました。

続いてはこちら。夏の大会にて崎玉高校との試合後に西浦の球児たちが外で着替えやダウンをしているシーンです。

おおきく振りかぶって

特別大きな球場でもない限り、選手専用の控え室はありません。着替えやアップ、ダウンはほとんど球場周辺で済まします。こういうところが本当にリアルです!

続いても夏の大会にて崎玉高校との試合後のシーンです。親御さんから差し入れのアイスを貰う水谷文貴と巣山尚治(すやましょうじ)。

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試合の時は必ず差し入れをいただくので、こうして着替えやダウンが終わった順に食べます。試合後のアイスは格別です!

本来なら描かなくても問題のないシーンばかりなのですが、こうした何気ない日常も描くことでキャラクターたちが一人ひとり生き生きして見えてきます。

キャラクターたちの人となりがわかると愛着も沸きますし、なによりここまで詳細に描かれていると推しキャラの動向を追えたりと読み手の楽しみも広がるんです!

また高校野球では当たり前の出来事を自然に描くことでリアリティも増します。

神は細部に宿ると言いますが、まさにそれを体現しているかのよう。小さなコマにまでこだわるひぐちアサ先生の描写力に感服です。

西浦高校野球部マネージャーの仕事っぷりにも注目!

西浦高校の野球部には1年生の篠岡千代(しのおかちよ)という可愛らしい女子マネージャーがいます。

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元野球部マネージャーから見て、彼女の仕事っぷりは本当に素晴らしいのです。部員たちの裏で暗躍するその姿は目を見張るものがあります。

ここからは尊敬の意を込めて篠岡マネージャーと呼ばせてください!

篠岡マネージャーは中学時代ソフトボール部に所属していました。と、いうのも実は高校野球のマネージャーをするためにルールなどを把握するためという理由でソフトボール部に所属していたんです。そしてかなりの高校野球マニア。

基本的なルールはもちろん、ボールを見る目も備わっているのでまさにプレイヤー目線でスコアをつけられ、細かい球種まで判別可能。有能すぎる!

おおきく振りかぶって

初心者マネージャーが入部して最初にぶつかる大きな壁の1つにスコアつけがあります。試合の一挙一動を書き留めるのは初心者にとってはかなりハードモード。結構難しいんです。

ところが我らが篠岡マネージャーにかかればスコアなんてなんのその!なんなら三星学園と西浦高校の練習試合では、アナウンスをしながらスコアをとっています。

おおきく振りかぶって

入部からたった1か月ほどでアナウンスとスコアを同時進行できるとは、さすがです!

このアナウンスもただ読み上げるだけではなく抑揚やタイミングなどある程度練習しないと難しいのですが…

おおきく振りかぶって

さすがは篠岡マネージャー!百枝まりあ監督の愛犬アイちゃんと和やかムードで楽しくこなしていました。

他にもジャグを観客席に運ぶ篠岡マネージャー。(ジャグはめちゃくちゃ重い!)

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1人で大量におにぎりを作る篠岡マネージャー。(状況によって量や具材を調整している!)

おおきく振りかぶって

他校のデータを徹夜でまとめあげる篠岡マネージャー。(これはもう真似できない!)

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探してみるとみんなの後ろでいつも仕事をこなしているのです。まさに影の立役者。

野球部を陰で支える篠岡マネージャーの姿にもぜひ注目してみてください!

作品全体から伝わるひぐちアサ先生の高校野球愛

関係者も驚くほどリアルに描かれている理由には、ひぐちアサ先生の取材力が関わっていると考えられます。

『おおきく振りかぶって』第3巻の企画ページに書かれている「おお振りの誕生するまで」で、ひぐちアサ先生は連載が始まる1年前から母校の野球部に密着取材させてもらっていることを明かしています。

先生ご自身が間近で野球部を見ていたからやけにリアルだったわけですね。それにしてもここまでリアルに描き切れるひぐちアサ先生の観察眼や表現力には思わずうなってしまいます。

また取材を通して頑張っている高校生たちの姿に感動し、もっと高校野球が好きになったと語っていました。

その話を聞いてぱっと思い浮かぶのが『おおきく振りかぶって』の中でも屈指の名シーンである阿部隆也(あべたかや)のこのセリフ。

おおきく振りかぶって

これはひぐちアサ先生が取材を通して感じた想いが込められたセリフだったのはないでしょうか。
こうした先生の高校野球への想いが随所に込められているマンガだからこそ、多くの読者の心をつかみ続けているのだと感じます。

マンガの隅々までいっぱいに描かれている高校野球愛をぜひその目で確かめてみてください!

高校野球愛が溢れる本格派野球マンガ!

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