『おやすみカラスまた来てね。』は『あなたのことはそれほど』や『潔く柔く』の作者であるいくえみ綾先生の作品です。
いくえみ綾先生の作品といえば素敵な男性(いくえみ男子と呼ばれている)が魅力の1つですが『おやすみカラスまた来てね。』では失恋した無職のヒモ男が主人公です。
なんとも頼りなさそうな主人公ですが、とある不思議なきっかけでバーのマスターとなります。私たちが日常で抱いている本音にそっと寄り添う、そんなやさしくてあたたかい物語です。
失恋・無職からバーのマスターへ
恋人の家で食事をしていた無職の十川善十(そがわ・ぜんじゅう)は、今年で30歳になる彼女から「遊んでいられないんだわ」と別れを告げられます。
失恋した善は夜の街で飲み歩きます。やがて偶然見つけたオーセンティックバーのマスターから振る舞われたお酒と店内の雰囲気が気に入った彼は「ここで働きたいんですけど」とマスターに伝えます。
しかし翌日バーを訪れるとそこにマスターの姿はなく、娘の九重一葉(ここのえ・ひとは)がいるのみ。そしてマスターは1週間前に亡くなったことを告げられ、さらにバーを継いでほしいとお願いされます。
不思議な一夜からのできごとに戸惑う善ですが、お店を継ぐことを決意します。こうして善は失恋した無職からバーのマスターとなり新しいスタートを切るのでした。
仕事での失敗や成長
オーセンティック(本格的な)バーで働くことになった善は、様々な出会いと別れを経験します。そして失敗するたびにいろんな感情を味わいながらバーテンダーとして成長します。そんな善の姿を3杯のお酒のエピソードと共にご紹介します。
常連客の辛いウイスキー
店内で若いお客たちがはしゃいでしまい、バーの居心地よい雰囲気がこわれます。しかし、善はさわぐ女性たちに上手く対応できずにいました。そんな中で静かに飲んでいた常連客の男性は、頼んでいたウイスキーをキャンセルして席を立ちます。
さわがしくなってしまったことをあやまる善ですが、常連客の男性は「もう十分だよ」という言葉を残して去っていきます。
失敗はつい人のせいにしたくなるものです。しかし善は自分の失敗で人が離れていった事実を受け入れます。常連客が置いていったウイスキーを飲みながら、辛い失敗を乗り越えるそんな一杯です。
浮かれた時のマティーニ
新しい女性とデートがうまくいった善は、先輩バーテンダーのお店でノロケます。そんな浮かれている善に、先輩バーテンダーは「甘えるな」とトゲのある一言を伝えます。
まだまだ未熟なバーテンダーである善は、先輩バーテンダーからの一言で身が引き締まります。ひとつ上手くいくと浮かれてしまいがちな人の弱さを正してくれるそんな一杯です。
妻が好きなカルーアミルク
亡くなったマスターと懇意だった、焼き鳥屋の店主がバーへやって来ます。一度目は妻が好きな甘いお酒、二度目は辛いお酒を頼みます。そして二度目にしてようやく、妻が亡くなったという悲しい事実を善たちに伝えることができました。そんな妻への悲しみを抱えた店主に善はやさしいイタズラをします。
店主の妻が好きだったお酒を隣にだして、妻がいるかのようなおもてなしをする善。人の心に寄り添うやさしさにあたたかい気持ちになるそんな一杯です。こうして日常のさまざまな感情に寄り添うことで、善は味わい深いバーテンダーへと成長していきます。
バーには自由な空間がある
仕事だけでなく、恋愛でもいろんな感情に寄り添う善。失恋や新しい恋をとおして、自分の大切なものを選ぶ素直な気持ちに気づいていきます。
しかし時には、このようにボロボロになることも……。
そんな矢先に元カノの不倫疑惑や、亡くなったマスターに隠し子がいるなんて話も浮上してきて…。
人の弱い部分がギュッとつまった『おやすみカラスまた来てね。』やさしくてあたたかい物語をぜひ味わってみてください!
心安らぐ一杯を
📚📃✍️💵🎊📚📃✍️💵🎊📚📃✍️💵🎊
『健康で文化的な最低限度の生活』最新刊 9巻発売を記念してコラボ開催中!
夏休みだからマンガを読んで読書感想文、あると思います!ルールは簡単、『健康で文化的な最低限度の生活』を読んだら #私と健康で文化的な最低限度の生活 というハッシュタグをつけて、感想をnoteに投稿するだけ。スピリッツ編集部が審査してくれるから、あなたの言葉が直接届くチャンス!
生活保護…?貧困ビジネス…?難しい単語に迷わずに、読んで頭に浮かんだ感想を書いてくれればOK!noteに気軽に書いて応募しよう!