「アセクシャル」という言葉をご存知でしょうか。
「他者の対して恋愛感情や性的感情を抱かない」セクシュアリティのことを意味している言葉で、人口の1~3%程度存在すると言われています。
『きみのせかいに恋はない』の主人公・チカもその一人です。
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チカの世界
主人公・チカは高校時代、同級生の男子に告白されて付き合ってみたものの、恋愛感情や性的感情が湧くこともなく、ある日セックスを拒否したのが理由で別れ「付き合っているのに拒否した常識が通じない奴」と周囲から浮いてしまいます。
「普通」「恋愛」がわからない主人公のお話(1/12) pic.twitter.com/QMwFW8DK0D— 伊咲ウタ きみのせかいに恋はない配信中 (@uta_isaki) March 20, 2021
その後、性的欲求が強くない男子を紹介してもらい好印象を持ちましたが、それでも恋愛感情・性的感情が生まれることはありませんでした。
「自分は恋が理解出来ない宇宙人なのかもしれない」と悩み、心理学を学ぶ為に大学に進学して憧れていた心理学の教授・石井に教えを請います。
様々な世界を知っていくチカ
チカは石井の家に間借りしている男性・梅崎性欲はあるものの現実の性的欲求が無いことを知ったり、同期の同性愛者の大学の男子・伊藤、アニメや同人活動が好きな女子・榎本達と交流していく内にセクシュアリティの多様性への理解を深めていきます。
そして石井もアセクシャルであり「大事なのはまわりにアセクだって認めてもらいことじゃない 自分がしっくりくる道を選び取ること」と主張し、その言葉にチカは「アセクシャルである自分自身」が現状でしっくりしていることを実感して認め安堵しました。
「性」は見えないものだから
「恋をしたことがない」というチカに対し「心の病やトラウマが原因かもしれないしカウンセリングに行ってみたら」と返したり「恋愛をしないのはもったいない」と意見する同級生が登場する場面があります。
「恋愛するのが当たり前」「セックスする、性的感情があるのが自然」と話題にする時が現実でもあった際に、知らない内に誰かを傷つけていたかもしれません。内面にあって見えない部分だからこそ学んでいき、誰かを傷つけないようにしていきたいですね。
1冊で完結されていて読みやすく、一目で見えない「性」というものに対し一歩理解を踏み出せると同時に、チカの様な生きづらさを感じている人にとって「自分一人だけの悩みじゃないんだ」とほっと出来る作品です。