『げんしけん』は月間アフタヌーンで2002年から2006年に連載された大学生のオタクサークル活動の内情を切り取った描写が魅力のコメディ作品です。2010年から2016年にかけては続編の『げんしけん2代目』が連載されました。
『げんしけん』ってどういう意味?
『げんしけん』とは現代視覚文化研究会の略です。俗に言うアニメやゲームやマンガといった日本が誇る文化を研究する、という体のいわゆるオタクサークルです。
普段は静かに息を潜めて暮らしている日陰者のオタク学生達が共通の趣味を持つサークルの中で愛するアニメやゲーム、コスプレについて熱く語りあう、そんなマンガです。なんだろう。彼ら、メチャクチャ楽しそうなんだよなぁ。
オタと非オタは共存出来るか?
『げんしけん』には様々なオタク達が登場しますが、非オタクの一般人も登場します。端麗な容姿の美青年だが中身はガッチガチのオタクである高坂真琴の彼女である春日部咲は、完全な非オタで、オタクへの偏見もすごいというオタクとは相容れない性格。
そんな彼女が、高坂の同伴者として部室に入り浸るようになります。
オタクと一般人は理解し合えるのか?本作の一つのテーマともいえる難題ですが、ガチのオタクではないであろう大多数の読者様も咲の視点を通して、オタクってこんな生き物なんだな。こういうところは分かるなー、と謎に包まれたオタクの生態を垣間見ることが出来るハズ!
居心地の良いあの部室の空気感がエモい
本作ではオタク達の生態はもちろん、オタク同士の恋愛や、禁断の恋に至るまで様々な恋愛模様が繰り広げられる一幕もあり、そこにオタクの矜持が絡まっておもわず悶えます。そして作中で主に悶えてるのは斑目先輩です。
際限なく自分本来の姿をさらけ出せる場所がある。オタクにとってこれほど居心地の良い空間はありません。あそこにいけば本気で語り合える仲間がいる。お互いの「好き」をさらけ出しても引かれない(⇦これ重要)。
あ、このままの自分でいいんだ、と思える空間の描き方。世間ずれしたオタク達の憩いの場。それが『げんしけん』です。こんな大学生活送ってみたかったなと思うし、それぞれの好きを爆発させている登場人物達を心底羨ましくも感じるのです。
そんな愛らしい登場人物に溢れた読めば納得の名作です。大学サークルのリアルな空気感がありありと伝わってくるので、ある人は学生時代を懐かしみながら、ある人は未来のキャンパスライフに想いを馳せながら、ぜひご一読頂きたい作品です!