竹嶋えく先生により描かれている『ささやくように恋を唄う』は、コミック百合姫にて連載されている作品です。本作には朝凪依と木野ひまりが運命の出会いを果たす、ガールミーツガールが描かれています。
もし自分が書店員だったら、大好きな作品をどうみなさんに伝えるか…。そんな思いから描いたPOPを切っ掛けに本記事は書かれました。
「ひとめぼれ」という強烈な感情に込められた本作の魅力をお伝えできればと思います。
すれ違って生まれた「ひとめぼれ」
高校1年生になったばかりの木野ひまりが、新入生歓迎会でステージの上に立つ朝凪依の歌う姿にひとめぼれしたことをきっかけに、本作は幕を開けます。
ボーカルの先輩にひとめぼれした話① pic.twitter.com/iLbUeOyHhp— 竹嶋えく🌸9/17ささこい⑤ (@takeshimaxfj) June 20, 2019
しかしそのひとめぼれ、実は「憧れ」の意味を持つものであり、告白を受けて同じくひとめぼれをしてしまった依の「恋心」とは全く異なる感情でした。
すれ違いに気づき落胆する依。しかしひまりから受けとった憧れから感じる、わずかな希望を諦めきれません。そうして依は自分の手でひまりに恋心を持たせると誓い、ギターを手に取ったのでした。
好きになるってこんな気持ちなんだ
すれ違う「ひとめぼれ」の気持ちを1つにするために、本作は動き始めました。
ならば本作を語る上で「ひとめぼれ」という感情の力強さを語らずにはいられません。「ひとめぼれ」の感情が現れているのは主に依なのですが…それはもう直視できないほど幸せっぷりが終始描かれていました。それだけで読む価値があると思えるほどに、強烈な幸せオーラを放っているのです。
1人で過ごしてた放課後の時間に2人分の笑顔が増えたり、自分に会いに来てくれただけで用件を聞く前に嬉しくなったり、ただお出かけするだけの約束で舞い上がってしまったり。バンド活動を続ける決意をしたのも、ひとめぼれが原動力となった出来事です。
人を好きになるとこんなにも身の回りの出来事が幸せに感じられるんだ。そう思わずにはいられない、幸せそうな描写の数々に心が奪われました。大人になり、筆者は何かにひとめぼれする機会が少なくなってしまっていました。
しかし本作は、世界から好きな人のことしか見えなくなった、ような若い頃の盲目的に幸せだった気持ちを思い出させてくれる。そんな作品でした。
誰だって、奇跡は手放したくないから
「ひとめぼれ」は時に気の迷いと片付けられてしまうこともありますが、本作を読んでいると、そのように切り捨るべきではないのだと気づかされます。むしろ大人になると同じ奇跡はこの先2度と起こらないのだから、全力で掴むべきなのだ、と考え直させられるほどに。
人やもの、出来事にひとめぼれする大切さを考え直したい方、そして依とひまりの「ひとめぼれ」の行方が気になる方には、ぜひとも読んでいただきたい作品です!