安田剛助先生の『じけんじゃけん!』はタイトルの「じゃけん」が示す通り、広島を舞台としたミステリーコメディ。ミステリ好きの広島弁女子、白銀百合子とミステリ研究同好会の仲間たちの掛け合いが楽しく、ミステリ好きもそうでない人も楽しめる漫画です。
中でもヒロインの百合子先輩がとにかくすごいので、紹介させてください!
先輩のミステリにかける情熱がすごい
百合子先輩のミステリへのとてつもない偏愛は、作中様々な奇行として現れます。
「思いついたトリックを後輩の戸入へ出題する」というミス研っぽい活動も、ただ問題を出すのでは無く百合子先輩が死体役として登場する模擬密室殺人事件を解かせる、という一風変わったスタイルに。
真夏に窓を締め切り、一人後輩を待つ。ミステリの素晴らしさを伝えるために体を張る姿は面白くもカッコよく映ってしまいます。暑い中体を張ってまで伝えたかったトリックについては本編で確かめてみてください!
百合子先輩の暴走はこれだけではありません。
推理小説のオチに騙されたことを本気で悔しがって負け惜しみを言ったり、
親戚で自分のことを慕ってくれる後輩のアイリスに厳しい試験を課し、ミステリ同好会のメンバーにならせなかったり。
ミステリ好きが暴走して後輩を振り回す傍若無人っぷりは『じけんじゃけん!』の醍醐味です。
後輩たちへの愛もすごい
ミステリのこと以外何も考えていなさそうな百合子先輩ですが、主人公の戸入がミス研に入った時は彼女しかメンバーがいませんでした。
そんな境遇があったからこそ、彼女は後輩に対して人一倍愛情を持って接しています。
自分が死体役となってトリックを解かせるのも、厳しい試験を課すのも、全て後輩たちにミステリをもっと楽しんでほしいという思いが故なのです。
彼女のそんな不器用な頑張りに、戸入をはじめとした後輩たちも応えてくれます。困惑しつつも次第にミステリにのめり込んでいく彼らのことを、思わず「世界一可愛え…」と感嘆する百合子先輩の親バカならぬ「後輩バカ」な一面は、ミステリ狂の彼女とは少し違った印象があります。
広島弁、ミステリへの偏愛といった目立つ要素だけではなく、芯には優しさがある。空回っているようには見えますが、後輩にも自分と同じようにミステリを愛して欲しいと思って奮闘する百合子先輩の勇姿を見ると、彼女を「先輩」と呼びたくなる気持ちがわかってくるはずです!
個性的な後輩たちとのやりとりも見逃せない!
『じけんじゃけん!』のコアである百合子先輩ですが、彼女に振り回されている後輩たちも濃いキャラクターばかり。
ミステリ同好会に集まるメンバーだけ紹介しても、
顔は良いが百合子先輩のこと以外何も考えられない主人公の戸入、
戸入のことが好きでミス研までついてきたスポーツ少女の四ツ名ひまわり、
百合子先輩の親戚でイギリスと日本のハーフ、エセ広島弁の1年生黄色アイリス、
など、ビジュアル的にもキャラクター的にも個性豊かなメンバーが繰り広げる掛け合いはいつまでも見ていたくなります。
また、後輩ごとに百合子先輩の接し方が微妙に違うところは要注目です。
自分のことが好きだと宣言する戸入には余裕を持って冷たい態度をとったり、
ミス研に来るまで話したことがなかったひまわり相手には当初気まずい雰囲気になったり、
懐いているアイリスにつっけんどんな態度をとりながら、その実誰よりも彼女を溺愛していたり…。
後輩たちとの関係性を考え出すと、まだまだ百合子先輩を応援したくなるポイントが出てきます!
百合子先輩のミステリ&後輩愛をお楽しみください!
ミステリへの真摯な態度、後輩への思いやりなど、様々な顔を見せる百合子先輩。
戸入はじめ作中のほぼ全員が彼女を大好きだということがうなずける百合子先輩の強烈な魅力をぜひ感じてみてください!