『ちいさいひと』は、児童福祉司として働き始めた相川健太を通じて語られる子どもたちの物語。実の両親が子どもに対して行う暴力、育児放棄、性的虐待は、どうして起きてしまうのか。どうしたら子どもたちを守れるのか。
奮闘する健太自身もまた、母親からの虐待の過去をもつサバイバーでした。
氷の目をした子どもたち
体の傷を隠すため、夏でも長袖を着ている子どもや、母と再婚した義父の様子に文句を言えない女の子。子どもたちのささいな仕草から、健太は敏感にそのSOSを感じ取ります。
冷たく感情のない目は「フローズン・アイ」と呼ばれます。これは、対抗手段を持たないか弱い子どもたちが、辛い状態から心を守るための防御反応なのです。
子どもではなく『ちいさいひと』
マンガタイトルにもなっている『ちいさいひと』は、児童養護施設「暁学園」の元施設長・祖父江文宏さんが子どもたちを呼んでいた時の言葉です。祖父江さんは大人を「大きい人」子どもを「小さい人」と呼んでいましたが、ここには子どもを一人の意志をもった「人」として対等に扱おうという意味が込められています。
「子どもを愛さない親なんていない…
歪んだ愛情表現、それが虐待だ」
体を張って子どもを守る「大きい人」たち
時には防刃チョッキまで必要になるのが養護施設のリアル。子どもを緊急保護した養護施設に、激怒した父親が殴り込みにくることも。カッターを振り回し、子どもを連れ戻そうとする父親の前に立ちはだかり、体を張って子どもを守ろうとする児童福祉司さんたち。
じ、児童福祉司って、そ、そんなに大変なの…
辛かったら助けを求めていい
虐待をしている親の側にもさまざまな事情があります。
『ちいさいひと』では、生活の苦しさから子どもに当たってしまい、自らを責める母親の姿も描かれます。自分一人で抱え込まずに、誰かに相談するところから始められたら。
社会について一緒に考える人に
日本のマンガはヒーローものやファンタジー、冒険だけではなく、社会問題を分かりやすく伝えてくれるところにも魅力があります!
2017年度の日本の児童虐待は相談件数だけでも13万件を超えています。
『ちいさいひと』を通じて、児童虐待に対する理解が進み、自分も周りにいる子どもたちの変化に気づきやすくなったらいいですね!優しい社会に暮らしたい!