「ボーイズラブ」、通称BL。男性同士の恋愛を描いたジャンルを意味します。
筆者も大好きなジャンルであるBLを、ゆうきまさみ先生が『でぃす×こみ』という作品で意外な形で描いているのです!
きっかけは間違った受賞!?
舞台は恐らく田舎の夏休み。従兄弟同士であり田舎に住んでいる幸多が、「来年は受験で来れない」と話す優等(ゆうと)に「死んだ姉貴の多恵(ささえ)が淋しがるよ」と返事をします。
そんな幸多の言葉に「俺は死んだ多恵ちゃんじゃなく生きてるお前に淋しがってほしいんだよ」と胸の内で想いを叫ぶ優等。その後ろ姿が哀愁を誘います。
このマンガの作者であるゆうきまさみ先生は、警視庁が発足した「特車二課」で汎用人間型作業機械(簡単に言うとロボット)「パトレイバー」を駆使して戦いながら成長していく若手やそれを見守る上司等の近未来SFヒューマンドラマを描いた『機動警察パトレイバー』や、高校の光画部(写真部)の部員とOBそしてアンドロイドのR(あ~る)・田中一郎という奇妙なキャラの日常を描いたギャグマンガ『究極超人あ~る』等を手掛けた少年誌・青年誌の作家です。
そんなゆうき先生が、こんなに切なく繊細なBLを描かれるのか…!
と思いながらページを捲ると場面が変わって授賞式の会場に。
冒頭のBLマンガは、「でぃす×こみ」というタイトルの投稿作品の中のワンシーンだったのです。
しかし受賞者である主人公・渡瀬かおるは、「でぃす×こみ」を描いた記憶がありません。
誰か別の人物がかおるの名前を使って応募したようです。
一体誰が…!?
実は兄の弦太郎が思い付きで描いたマンガをかおるの名前で応募していたのでした。
担当編集者となった八反田(はったんだ)に事実を伝えようとしたものの、あの作品を男が描いてたらドン引きすると言われてしまい結局言えずじまいに。
そうして、かおるは兄と共に創作することになったのです。
テーマがBLでも読みやすい「ゆうき節」のパワー
「BL」というジャンルは最近割とポピュラーなジャンルとして広まっているものの、やはり読み手を選ぶ難しいジャンルではあります。
(ゆうき先生ご自身もこうおっしゃってますし、描き手にも難しいジャンルですね…)
しかしそれでも抵抗なく読める空気になっているのはやはりゆうき先生の人を不快にさせない笑いを描く「ゆうき節」があってこそ!
例えば、かおるの同級生の成績優秀な男子生徒の母親(実はBL好き)が「息子が貴方のマンガに夢中でBLに目覚めたら困るからマンガを描くのを止めて欲しい」と言い出した時も、その同級生や他の男子生徒もかおるの才能を認め、BLを一切否定していません。
結局母親も承諾した上にBLのアドバイスまでしています。
BLが肯定された前提の世界なのでとても読みやすいです!
BLやマンガの勉強にもなる!
BLに無知なかおるは弦太郎や八反田の指導を受けBLマンガを創作していくのですが、BLマンガを創作する上でのキャラの心情、掘り下げについて改めて考えることが出来て勉強になります。
BLを知らない方も「こういうものなんだぁな」と知って貰えると思います。
錚々たる作家がカラーを担当!
『でぃす×こみ』の大きな魅力はカラーページ!
実は各回の冒頭のカラーページはゆうき先生ではなく別な作家の方々が担当しているのです!
どんな感じになるかというと…
こんな風に作家の塗りの違いでとても雰囲気が変わります!ちなみにどなたが担当されたかわかりましたか?単行本の巻末で誰がカラー担当されたかわかるので是非読んで確認してみてくださいね!
一度で何度も美味しい作品『でぃす×こみ』是非ご一読ください!
新しい世界の入り口にも!
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