©矢寺圭太/小学館
ロボットと共に生活する世界、20世紀人が絶対にクルはずだと予測していた遠くない未来を描いた『ぽんこつポン子』の物語は、田舎に住む老人とメイドロボットのスローライフでした。
ですがその表現は意外なものではなく、今の世界を取り巻く状況を考えた時に当然の帰結だったかもしれません。
入りが身近で明快であるほど、読者を深遠な本質に招き入れることがより可能になります。ポン子の著しい明るさと魅力が読者を包み、その柔らかさから本来難解であったり深刻になるかもしれない避けられない未来の有様をふんわりと伝えてくれるこのマルチレイヤーな『ぽんこつポン子』作品の魅力、なんとしても憶えてから帰って下さいね!テストに出ますよ!
ポン子の魅力にグイグイ迫る『ぽんこつポン子』徹底攻略記事の第一弾は、矢寺先生がこの記事の為だけに描き下ろして下さった門外不出のポン子内部想像図を基に、ポン子の秘密、ひいては本作の持つ秘密を紐解いていきます。
近未来でありながら、どこかに懐かしさを感じるポン子の世界をリスペクトし、今回はなんだか懐かしいあのノリを交えてご紹介!題して、「ぽんこつポン子 超ひみつ百科」!
目次
- これがポン子の超ひみつ図解だ!(ただし想像図)
- ポン子ブレイン
- ポニテ骨
- ポン子アイ
- 万能接続端子
- 頭部固定具
- ポン子イヤー
- ポン子エンジン
- バッテリー
- ポン子タンク
- サブブレイン
- イオン加速器
- イオン発射装置
- ブラックボックス
- ポン子マッスル
- ネジ
- ポンコツロボットに心はあるのか⁉
- と思うんだけどホントはどうなの?
- ぜひ『ぽんこつポン子』読んでみて下さい
- 『ぽんこつポン子』の社会的側面については別の記事でご紹介
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これがポン子の超ひみつ図解だ!(ただし想像図)
©矢寺圭太/小学館
正式名称:多機能お手伝いロボットTOR前期型
製造年数:30年以上前に製造(型落ちのため今回の契約終了後スクラップ行き)
紹介せねばなるまい!これが独居老人・吉岡ゲンジ(通称、ゲンさん)に幸せを運ぶであろう高性能家政婦ロボット・愛称「ポン子」の全貌だ!このロボットに搭載された数多くの機能によって、独居老人や限界集落に待ち受けるいかなる不測の事態にも対応が可能なのである。だが、その全てをキミはまだ知らない!
アルが入手した図面を基に、それぞれの超機能を上から順にご説明していこうっ!!
ポン子ブレイン
パーツを交換しながらごまかしごまかし使い続けてる年代物のポンコツ電子頭脳。冷却が追いつかなく、よく煙が出る
ポン子の頭にはやや高性能な電子頭脳が搭載されている。必要に応じその場で様々なソフトをインストールすることが可能だ。将棋ソフトをインストールすれば、プロ顔負けの将棋を指すことも不可能ではない!
煙が出ることも少なく無い。限界に近づいたリチウム電池が爆発を防ぐ目的で膨らみスマートフォンがハマグリ状態になるのと同様に、過剰な回路へのアクセスによって焼き付けが起きるのを未然に防ぐ目的で冷却剤が全方位散布された結果であることは容易に予想が付くだろうが、実際にはただのオーバーヒートによる水蒸気漏れである。よって旧式日本家屋での室内乾燥問題を解決する加湿器としての優秀さを見逃すことは出来ない。
メモリーは常に高コストで、エコを意識した時に消去と上書きは妥協的結論だろう。過去、テレビ番組の名作と呼ばれる作品達でさえVTRの上書きにより消えてしまいもう2度と視聴出来ないものが数多くある。個人情報の保護は重要な課題だが、それによって失われる「思い出」も同時に存在し、今後厳格な管理の下でのアーカイブ化を議論するフェーズに入って来たのもまた事実かもしれない。
新しい顧客の為に新しい記憶、それはポン子には思い出が無いことを示しているが、ポン子はそれを望んでいるのだろうか。
【作品の見どころ】 思い出される千秋との思い出
ポン子は以前、今は亡きゲンさんの妻・千秋の看病をしていました。
この記憶は削除されているので、現在のポン子は覚えていません。しかし、ゲンさんとの生活を共にしていくことで、ポン子は千秋との記憶がよみがえってくることがあります。
千秋に教えてもらった(記憶が削除されているはずの)「ガンバル体操」をなぜか踊りだしてしまうポン子。
ポン子は削除されている千秋との記憶を思い出すのか?ポン子の記憶に今後注目です。
ポニテ骨
ある程度自在に動かせる。センサーにもなる。
人類がロボットに求めているのは万能性であり、ポン子におけるその最たるものがポニーテールなのは疑いがない。
水中でスクリューとなり、ある時は全方位レーダーとなる。
他にもまだあるであろう隠された機能、そしてポニーテールの万能性を支える素材の秘密はやがて明らかになるっ!
ポン子アイ
カメラやライトにもなる。
ポン子の目は映像を記録するのはもちろんのこと、ライト機能も有している。スーパーロボットからスーパーヒーローまで、古今東西ヒーローと名が付く物は必ず目が光る。これは極めて重要な機能なのだ。
このライト機能があれば、カラオケで大活躍だ!カラオケにもぜひ連れて行こう!
万能接続端子
USBやビデオ端子などなんにでも接続可能。
USBさえあれば大抵のものと繋がる事が可能になる。これはポン子が身近な存在であることのシンプルな証明だ。
ゲンさんとの新しい生活の中、見るもの全てが新しい経験で新しい記憶になっていく。ポン子はレンズを通して、彼女なりの幸せを積み重ねているのだ!
なお、ポン子アイで記録された映像は、テレビなどで再生することができる。
ハイスペックなので、画像補正機能も搭載している!美白もまかせろ!
頭部固定具
接続がバカになっているため頭がよくとれる
頭部と胴体は固定具で接続されているが、接続が不安定で頻繁に外れてしまう。胴体と頭部が独立して稼働可能な設計であるのはロボット設計者のこだわりが感じられるポイントだ。
マジンガーZのブロッケン伯爵やDr.スランプのアラレちゃんなど、頭部が取れるキャラクターは愛される傾向が強い。頭が取れるというそら恐ろしい光景であるにも関わらず、何故かそれを見るものが(ゲンさんを除き)恐怖を感じないのは、ポン子から恐怖を中和する何かしらの何かしらが放出されていることも否定出来ない。心地よい何かしら浴なのだ!
ポン子イヤー
様々な周波や言語を聞き分けられるが、聞き間違いも多い。
いつか人類に変わり地球を支配する生物が現れるとしたらそれはイルカであると唱えるSF研の部員も多い。そんな賢いイルカと自由に話すことが出来るとしたら…、そうポン子の耳があれば、イルカやクジラと会話することだって可能だ。羨ましい!静岡のスーパーに行くとイルカ肉を売っているからイルカさんは行かないようにといち早く伝えなければ!
ポン子エンジン
出力はあるがもろくて小さい
発電機でもない融合炉でもない、ポン子に搭載されているのは”エンジン”なのだ!そこから産み出される強大なパワーは、小さい子供さえ軽々と持ち上げられる!
たかが電気されど電気。万が一の時は発電機の代わりとなり社会インフラを支えるのだ!
バッテリー
経年劣化で満タン充電できない。後ろのボックスにコンセントが収納
充電中に動画再生をする。複数のアプリを立ち上げっぱなしにする。まだまだバッテリーに余裕があるのに継ぎ足し充電を繰り返す。このように生活の中で乱暴にロボットを扱っていることはありませんか。バッテリーは簡単に劣化してしまうぞ!
もし大事な時に電源が落ちてしまったら…、ポン子は常にそんな危険と背中合わせなのだ!
ポン子タンク
口から入れたものを収納しておける。化学的合成もできる
化学的合成を可能にしたポン子タンクは素晴らしい可能性を秘めている。限界はあるものの、これは科学が可能にした現代の錬金術であり、可能性の坩堝と言っても過言ではないだろう。さほど遠くない将来に必ず人類を襲う水不足、食糧不足を解決する夢を我々はポン子を通じて見るのだ。コーラを飲んだポン子が水を合成してくれたら…、高級生食パンを食べたポン子がお米を合成してくれたら…、合わせれば美味しいご飯を炊くことが可能だ。とてつもない未来がここにある!
サブブレイン
頭部がなくても体をある程度遠隔操作するためのサブCPU
昔、そして今も、心の在処は議論のタネである。そしてポン子はそこに一つの解答をもたらした。頭に頭脳、身体(心臓ではなく下腹というのは大事なポイントだ!)にブレインがある。「腹案があります」「腹心と呼べる部下」「私腹を肥やす」、そう大事なものは全て腹にあるのだ!
イオン加速器
取り込んだイオンを調整できる
ポン子はイオンを体内に取り込み、イオンを超圧縮し超加速。イオンは安く野菜を買うことも出来るしイオンは人には欠かせない存在であることは間違い無い!
イオン加速器でイオンの量を増大させれば、イオン砲を発射することもできる。イオン砲…自走陽電子砲…ヤシマ作戦の予感!
イオン発射装置
マイナスイオン発生器にもイオン砲にもなる
マイナスイオンを辺り構わず放射して人々を癒すのはポン子の得意技だ!
「家政婦にはイオン砲なんて使い道がないでしょ?」なんてとんでもない。この機能によって多くの人々が救われてきたのである!
部屋にムカデが出現!敵をせん滅せよ!
線香に火をつける!時間短縮だ!
屋台でイカ焼き!どうだうまいだろ!
この機能がなかったら一体どれだけの人が苦しめられたことか?想像しただけでもゾッとしてしまう。
ブラックボックス
社外秘の秘密があるがその会社はもう倒産しているので謎のままである
ポン子の下腹部にはブルマっぽいものに包まれた謎のブラックボックスがある。まだまだポン子には秘密が隠されているようだ。
また、ポン子の製造会社は倒産している事実が判明した。どうりで、ポン子の部品が出回っていないわけだ。保守はロボットの要であり命を繋げる砦。それに限りがあることは、いつか来るポン子の終わりを考えざるを得ない。ロボットにも命があるのだ。
【作品の見どころ】終わりを控えたポン子とゲンさんの生き方
30年以上前に製造されたポン子は、ゲンさんとの家政婦契約が満了した後はスクラップにされてしまいます。
一方のゲンさんも、最愛の妻を亡くし自分の寿命がくるのを静かに待っているだけでした。
そんな2人が主人公のため、この作品には常に「人生の終わり」というテーマが根底に流れている気がします。笑えるエピソードの合間に感じる寂しさや儚さ、『ぽんこつポン子』を読んでいると様々な感情が顔を出してきます。
ポン子マッスル
無駄にパワーがあるが燃費が最悪。3分だけ時速70キロで走れる
全力を出せば3分だけ自動車並みのスピードを出すことができる。必要な時に3分間だけパワーを発揮する。そう、力尽きるまで3分間だけ全力を出せる。それはまるで彼のようだ!
この機能のおかげで、ゆうなが乗ったバスに追いつくことができたのである。(第6集)
ネジ
ポン子の体内からは、外れたネジが出てくる時がある。
ネジが1本や2本外れても、今のところ問題はなさそうだ。完全なものなど居ないし、完全である必要などないのだ。
【作品の見どころ】ポンコツぐらいがちょうどいい
ネジが外れたからかどうかは不明ですが、これだけ便利な機能があるにも関わらずポン子は失敗ばかり。「ポンコツ」と呼ばれてしまいます。特技のマイナスイオンも意味のない機能と言われる始末です。
そんなポン子に対してゲンさんはこう言います。
必要なのはなんでもやってくれる家政婦じゃない。(中略)役に立たないポンコツぐらいでちょうどいい。
ポンコツだからといって批判せず、一緒に住む良きパートナーとしてポン子を受け入れています。ミスが許されない現代社会を生きる我々にとって、この二人の関係性に救われる思いを抱く人もいるのではないでしょうか?
ポンコツロボットに心はあるのか⁉
以上が今現在予測可能なポン子の機能だ。様々な機能を紹介してきたが、一つの謎が残っている。
それは、ポン子に心はあるのだろうか?
ポン子は、心や愛がなんであるのかは理解ができていない。
家事をするためだけに製造されたロボットだから当たり前なのである。ポン子の正体は、会話機能が備わった家事ロボットにすぎない。
しかし、ポン子の日常を見ていると、どうも心が備わっているように見受けられるのである。
ひよこに母性を感じる
孫のゆうなにデレデレなゲンさんに嫉妬
納屋にしまわれたら寂しがる
ただのロボットに心はあるのだろうか?
この疑問を検証するには、2020年7月に発売された第6集がピッタリだ。
そこには今まで以上に感情を表に出したポン子が登場する。
更には、人間の命令を拒否してしまうシーンも登場してくる。
家事をするために製造されただけの家政婦ロボットには、我々と同じような心があるのだろうか?そもそも心とは一体何なのか?
その答えはきっと『ぽんこつポン子』が教えてくれるだろう!
と思うんだけどホントはどうなの?
©矢寺圭太/小学館
ぜひ『ぽんこつポン子』読んでみて下さい
ということで、「昭和のレトロメカを解説するノリ」でポン子の機能を紹介してみました。
ポン子の想像図を見ながら『ぽんこつポン子』を読めば、楽しさが倍増するはずです。未読の方もぜひこれを機に読んでみて下さい!
『ぽんこつポン子』の社会的側面については別の記事でご紹介
この記事ではポン子のキャラクターに着目しましたが、『ぽんこつポン子』の良さはそれだけではありません。作中には様々な社会的問題が描かれています。
来るべき近未来の、人とロボットの共生を描く『ぽんこつポン子』のもう一つの顔は、こちらの記事を是非ご覧下さい。
面白いからこそ伝わるもう一つの側面に気付くはず。『ぽんこつポン子』を今だからこそ読まれるべき作品であることを実感することができます!
OGP:©矢寺圭太/小学館
想像図イラストと照らし合わせながら読んでみよう!
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