なぜか津軽三味線の旋律が聞こえてくる。圧巻の演奏シーンに痺れる『ましろのおと』28巻が2021年7月15日に発売されました!
ゼロからはじまる「ましろの音」の世界へようこそ!本作は、「芸」の世界で生きる魅力・不安・葛藤を描きながら、津軽三味線をはじめとした日本の伝統エンターテインメントの世界を感じる音楽マンガです。
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『ましろのおと』とは
「月刊少年マガジン」で2010年から連載されている本作品は、少女マンガ家として広く知られている羅川 真里茂先生が描く初の少年マンガです。2012年に文化庁メディア芸術祭<マンガ部門>優秀賞を受賞、講談社漫画賞<少年部門>を受賞し、2021年4月にはTVアニメ化もされた話題作です。
津軽三味線を背負い、単身、青森から東京へやってきた津軽三味線奏者「澤村雪(せつ)」。師でもあった祖父を亡くし、自分の弾くべき音を見失ってしまった雪が、さまざまな人と出会いながら「自分の音」を探し、流されるままに生き、そして津軽三味線に生かされていく物語です。
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じっちゃが遺した「春暁」をめぐる物語
物語の核にある祖父の澤村松吾郎が遺した即興曲「春暁」。松吾郎が30年かけて作り上げたこの作品を巡り、雪と兄の若菜、そして母の梅子は囚われたように「春暁」に執着しています。
雪や若菜にとっては大切な宝物、孤高の高み、そして自分の「音」を探すために。梅子にとっては松吾郎が唯一残した才能を世間に鼓舞するために。
3人の親子が「春暁」を活かし「春暁」に活かされ、津軽三味線の世界を席巻していきます。
最新28巻への足掛かり。27巻のおさらいからの28巻レビュー
27巻では、雪たちは4人で結成した津軽三味線バンドSTCのデビューアルバムをひっさげ東北ツアーの真っ最中。途中、以前映画の主題歌に雪作曲の「荒天の調べ」をテーマに映画製作に取り組んでいたB級映画監督・ヤンコビッチと再会します。
「荒天の調べ」が起用されなかった理由を聞き、(怒りから生まれた)「荒天の調べ」では、”観た人”のエネルギーにならない。と告げられます。
ヤンコビッチが大切にしている作品の核を知った雪は、「春暁」をヤンコビッチに聴かせたいと、強く求めます。自分を表に出すことをあまりしない雪が殻を破って出てくるように自分を出し、STCの4人で奏でる「春暁」を完成させます。
無事「春暁」を届けることができた雪たち。ヤンコビッチ作品への正式な起用も決定し、雪の「春暁」にも一つの答えがでました。雪がたどり着いた「音」は、青森から出てきて3年半、無我夢中に津軽三味線へ食らいつきようやく掴んだ雪なりの解釈が、ようやく花開いた瞬間でした。
一方、雪の答えに若菜は焦り、梅子はこれを好機と捉え二人をさらに追い込んでいきます。梅子のこだわりは、息子たちの名を世に知らしめるためだけなのか⁉過剰な干渉と、さりげないバックアップに翻弄されながらも、梅子の存在は2人が津軽三味線奏者として生きていくための起爆剤になっていきます。
変わりつつある兄弟のカタチ。お互いが同じ場所にいないからこそ生まれる軋轢や葛藤に、また一歩、奏者としてステージを上げたい若菜が修行の旅に出ます。習う師がいない雪と若菜は、お互いの存在をバネにして自分の「音」を超えていくのです。
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