ようこそ亡霊葬儀屋さん

吉良いと / 著

『ようこそ亡霊葬儀屋さん』死者の最期の願いを叶える、寂しさと優しさが同居する心温まる物語

いきなりですが、あなたは下記のツイートを目にしたことはありますでしょうか?

これは2019年1月26日にTwitterにアップされて以来、2020年11月現在で14.4万いいね、5.3万RTもされている、吉良いと先生の創作マンガ『幽霊が視える葬儀屋さんの物語』です。

そしてそれが元となった『ようこそ亡霊葬儀屋さん』が「少年ジャンプ+」で連載され、多くの話題と反響を生みつつ、2020年10月13日の更新で最終回を迎えました。

このマンガでは死んだ人の姿が見えて声が聞ける葬儀屋さんの社長・烏丸枢が、死者の最後の願いを叶えていくことでストーリーが進んでいきます。

今回の記事ではそんな心温まる『ようこそ亡霊葬儀屋さん』の魅力や見どころをご紹介していきます。

葬儀屋・枢さんの仕事は葬儀を通して生者と死者を繋ぐこと

烏丸葬儀屋の社長である枢さんはいわゆる「視える人」で、その能力と立場を活かして彼は死者の最後の願いを叶えています

ただ当然最初は幽霊が見えることなど信じてもらえず、遺族に死者の伝えきれなかった言葉や想いを代わりに伝えようとしても胡散臭がられてしまうんですよね。

しかしそれでも彼は遺族の心に響く物や場所を通したりする事で死者と生者を繋ぎ、葬儀屋として両者の後悔を晴らしてから前向きな別れを提供してくれるのです。

もちろん依頼者が葬儀屋に来てから物語が動き出すので「寂しさ」や「悲しさ」からのスタートではあります。

ただ、1つのエピソードを読み終わったときにはそれを上回るほどの感動と心の暖かさを感じることができますよ。

枢さんの人柄に惹かれること間違い無し!

枢さんは葬儀屋さんということもあり、非常に物腰が柔らかく丁寧な口調が特徴的な男性です。

常に依頼者と死者のことを第一に考え、それでいて優しく余裕のある立ち振る舞いを見せる彼の人柄には、きっと多くの方が惹かれていくことでしょう。

これまで葬儀屋さんと聞くとどうしても暗い印象を持ってしまいがちでしたが、枢さんのような方なら安心して全てを任せられるでしょうね。

ただあまりに死者の願いを優先するあまりに部下の方が振り回されているシーンもあったので、上司として見るなら少し苦労させられるかもしれません。

葬儀屋マンガでも仲間や宿敵の存在が物語に刺激を生む

お世辞にも少年マンガらしいとは言えない葬儀屋がテーマのこのマンガにも、仲間や宿敵となるキャラが存在します。

葬儀の依頼をきっかけに烏丸葬儀社で働くことになった2人の高校生の成長も見どころの1つではありますが、個人的には枢さんの兄であり烏丸葬儀社とライバル関係にある「楽園」の経営者である烏丸燐の存在が、優しい雰囲気の作風の中で際立って異質な存在のように思えましたね。

彼も枢さんと同じ「視える人」ではあるのですが、はたして2人の間にどんな理念の違いや過去の出来事があったのか。

これについては物語の根幹にも関わる部分なので、真相はご自身の目でご確認ください。

『ようこそ亡霊葬儀屋さん』は生と死を扱いつつも暗すぎない心温まるマンガ

僕はこのマンガを読みながら身近で亡くなった方を思い出し、「もしその人が最期に何か伝えてくれるなら一体どんなことだろう」と考えたりしていました。

作中では枢さんが死者の代弁をしてくれていますが、現実にはそうはいかないですもんね。

物語として面白いところは面白く、心温まるシーンではとことんほっこりさせてくれつつも、扱うテーマから様々なことを考えさせてくれるマンガだと思います。

優しいマンガや泣けるマンガが好きな方には特にオススメできるので、気になる方はぜひ手に取って読んでみてください。

終わりは何かの始まり

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