今やすっかり市民権を得た「グルメマンガ」。テーマはご当地グルメやB級グルメ、そしてアレンジグルメなどその盛り上がりはとどまることを知りません。そんなグルメマンガ戦国時代の今だからこそ、私たちの原点であるグルメ「給食」に注目してみませんか?
青木U平先生の『オトナ給食~青木U平短編集~』では、懐かしい給食をテーマにちょっぴり不思議なハートフルストーリーを描きます。
懐かしい味と共に呼び覚まされるもの
現状に不安や悩みを抱える大人たちだけが辿り着ける、ちょっと不思議なお店「めしや給食」。
三角巾と割烹着がトレードマークの店主・稗田(ひえた)ミルクから差し出された冷たい瓶牛乳を飲むと、小学生の頃の自分にトリップします。
目の前に広がるのは、懐かしい教室やクラスメイトや学校の先生。そしてあの日の記憶を呼び覚ます「給食」。
「めしや給食」に訪れた大人たちは、忙しい日々を過ごすうちに忘れてしまっていた大切なことを「給食」を通して取り戻していきます。
あなたの思い出の給食は?
格別に美味しい...!という訳ではなかったのに、何故か毎日楽しみだった給食の時間。
作中には、そんな給食の時間によく食べたであろう6つの献立が登場します。
王道のメニューから時には箸が進まなかったあのちょっと不思議なおかずまで...。懐かしい献立と共に、子どもの頃にトリップする6人の大人たちのエピソードを堪能ください。
🍴ソフト麺
憧れの学校教師になったものの、厳しい現実にくじけそうになった男に出された思い出の給食。
パスタでもうどんでもないこのパスタ麺を食べた時に蘇ったのは、かつての恩師の姿でした。
また、人によって分かれるパスタ麺の食べ方に思わず共感してしまう方も多いのでは?
🍴酢豚
給食では、時に子どもにとっては理解しがたいおかずが出てくることもありましたよね。
特に酢豚は、大人になった今では美味しく感じるけれど、当時はおかずにフルーツが入っている...と衝撃を受けて思わず残してしまった方も多いのではないでしょうか。
ひょんなことから「めしや給食」に訪れた女性が、苦手な給食だった酢豚を前にした時何を思い出すのでしょうか?
🍴シチュー
給食といえば、給食当番の存在を忘れてはいけません。
子どもたちが給食を教室まで運びクラス全員に配膳する、という大人になった今では考えられない作業です。シチューなどの汁物が重くて、運ぶ途中に給食をこぼしてしまう子どももいたはずです。
そんな苦い記憶から心に呼び戻ったのは、暖かいシチューの味と人との関わり方でした。
その他に、優しい味付けとレーズンが印象的な「フレンチサラダ」や人気のおかず「クジラの竜田揚げ」、そして献立に登場するととっても嬉しかった「フルーツポンチ」などが登場します。
原点にして頂点のグルメ、給食
好きな献立が出る日は学校に行くのが楽しみだったり、じゃんけんで余りものを奪い合ったり...。
給食は、私たちが「食」に対して強い意識を持つきっかけとなるような出来事だったのではないでしょうか。
大人になった今、当時の給食を食べても感動することはないけれど、何物にも変え難い思い出が心の奥底で蘇るはずです。
まさに原点にして、私たちの心を揺さぶる頂点のグルメ。
ぜひ、6人の登場人物たちと一緒に思い出の給食をマンガで味わってみてください。