カイニスの金の鳥

秦和生/著

『カイニスの金の鳥』最終第4巻最速レビュー!完結後の続編にも注目!

2021年5月16日『カイニスの金の鳥』最終巻の4巻が発売されました!

『カイニスの金の鳥』について

カイニスの金の鳥』は19世紀初頭のイギリスに住む文才がある女性・リアが主人公の作品です。

「女性は優れた本を読み書き出来るわけがない」という男尊女卑の風潮から、男性のペンネーム「アラン・ウェッジウッド」名義で小説を執筆し、いずれ評価され有名になった後に自分の本当の身分を公表し世間に自分の才能を知らしめようと考えていました。

そして書籍化の声を掛けてくれた出版社があるロンドンで活動するため、男装して男性作家「アラン・ウェッジウッド」としての生活を始めることを決意。

タイトルは女性から男性に生まれ変わったギリシャ神話の登場人物・カイネウスが由来になっており、まさにリアの状況を表しているのが分かります。

1~3巻の展開

ロンドンの出版社を訪れたリアは、そこで同じく作家の男性・マイルズ・キーツと出会いそこから様々な人物との交流を深めていきます。

リアが心中に抱えるわだかまりや生きづらさがあるのと同じように、マイルズ達にも事情があることを知っていくのです。

また、実在する当時の作家をモデルにしたキャラも登場するので、当時の雰囲気を知ることが出来ます。

4巻レビュー

リアの正体に気付きながらも態度を変えることなく彼女自身の素晴らしさに敬意を表していたマイルズ。その後リアとの関係が異性としても更に前向きに変化していく展開が静かで優しい雰囲気で描かれ、心地の良い読後感を覚える締めくくりでした。

作品全体を通し、リアは男性に対して肩肘を張る様な態度ではなく、時代故の風潮に諦めの気持ちを抱きながらも客観的かつ冷静に現実を捉えて成長していく様子が魅力的に描かれています。

歴史と文化の波に穏やかに抵抗しながら「自分」という一歩を踏み出す姿が逞しく素晴らしい作品でした。

物語はまだ続く

単行本としては4巻で完結となった本作ですが、続編である『カイニスの金の鳥 それから』をkindleで秦和生先生ご自身が発表しています。(kindleunlimitedでも読むことが出来ます)

カイニスの金の鳥 それから
秦和生/著

今後もリアの物語が読めますのでこちらも要チェックです!

▼第1話試し読み

完結済続編あり〼!

カイニスの金の鳥 (全4巻) Kindle版