キングダム

原泰久 / 著

「キングダム展 −信−」大迫力の展示で信の戦いの軌跡を追う。7月25日(日)まで上野で開催中!

2021年6月12日(土)から7月25日(日)まで上野の森美術館(東京都)にてキングダム展 -信-が開催中です。400点以上の大迫力の生原画や展示、そして本展覧会のために描き下ろされた20点以上ものイラストを心ゆくまで堪能することができます。

第60巻で初版部数100万部を成し遂げ、最新61巻では遂に累計発行部数8,000万部を突破。アニメ化や実写化もされ、さまざまな媒体で楽しまれている国民的大人気作『キングダム』の世界をレポートしていきます。

キングダムの魅力

魅力なんて百も承知!という方は展覧会レポートへジャンプ

時代設定

『キングダム』は紀元前221年に中国統一を果たした秦の始皇帝の時代が舞台の物語です。いわゆる「春秋戦国時代」と呼ばれる年代の物語ですが、500年も続いていた長い長い戦いに終止符を打ったのが秦王・嬴政であり、主人公・信は秦国の将軍として活躍した人物がモデルとなっています。日本では弥生時代がこの時期に該当します。

「中国史」を扱った作品は数多く出版されていますが、多くの人は『三国志』の方が馴染みがあるのではないでしょうか。秦による中華統一から三国志時代の始まりは約400年ほども空くので、江戸時代の開始と現代くらい離れた時代の話ということになります。

そんな昔の話にもかかわらず、読者は登場人物たちの気持ちに共感し、涙し、興奮し、「中華統一」という夢に心を同じくしてしまいます。作者の原先生が描きたかったように「現代のドラマ」としても味わえる魅力的な物語です。

中国の昔の話なのですが、今の人とシンクロするように描いています。 現代のドラマのような話として読めるといいな、と。

繋がれていく人の思い

「天下の大将軍」を目指す主人公・信の物語は、まさに何もないところから始まります。高貴な生まれではない信が成り上がるためには戦で武功をあげるしかありません。戦場での経験を積み、着実にその活躍を広げていきます。

次第に5人、100人、1000人と信が率いる兵の数は増えていきますが、その中でかけがえのない「戦友」や大きすぎる存在である先の時代の「将軍」たちの死に直面します。直接、信に託された未来への思い、そして500年続く歴史の中で綿綿と受け継がれてきた人の思いが信に「将としての自覚や強さ」を芽生えさせます。

思いを乗せれば乗せるほど、強く重くなる信の矛が敵を薙ぎ倒していく様に胸を打たれます。しかし、その勝利の歓喜は犠牲の上に成り立つという事実が「中華統一」への思いを一歩一歩強固な者にしていきます。歴史の結末を知っている読者も、その行く末を固唾を飲んで見守ってしまうのです。

それほどにこの作品には熱量が詰まっています。

展覧会レポート

前置きが長くなりましたが、ここから実際に展覧会の様子をレポートしていこうと思います。

筆者撮影

筆者撮影

会場内は一切撮影NGでしたので掲載している内部の画像は公式からの引用となります。展示のネタバレも少々含みますので、衝撃を全て1から味わいたいという方はここで読む手を止め、チケット購入を急ぐことをオススメします!

JR上野駅公園口から会場である上野の森美術館へ向かって歩くと巨大ボードが来場者を出迎えてくれます。そのかっこよさと迫力に思わず声が漏れました。

生憎の雨でうまく写真が撮れなかったけど、会期中にまた来て撮るのもありかも!

入場前に待機列があるため、指定日時の少し前に到着して並んでおくと入場までちょうどいい時間になります。また、待機列+実際の観覧で2時間は見ておいたほうが賢明かもしれません。原則一方通行なのでお手洗いも済ませておいた方が安心です。

入り口では入場特典の卓上カレンダーがもらえました。

筆者撮影

そして、いよいよ会場内へ

入ってすぐの案内パネルで、今回の展覧会が438話「雄飛の刻」までであることを知りました。まだ未読の方、読み返す時間がないかもと悩んでいる方、ひとまず40巻が目安です。

そしてそのすぐ横には、一つ目の描き下ろしイラストがドンと現れます。

ダメだ、既に良すぎる。次に進みたくない。

最初からスタートダッシュで、胸を鷲掴みにされました。しかし、当然全くの序盤。本番はこれからです。単行本で読んでいた『キングダム』の戦士たちが目の前で「生の線」で描かれ、躍動している様子に思わず声を上げそうになったり、逆に息を呑んだりと感情が揺れ動きます。

何より、左右で同じく食い入るように原画を鑑賞している他の来場者たちが、同じようにこの作品を愛し、興奮していることが伝わってきました。

テーマごとに展開される展示

ここから、進むにつれ区画ごとにテーマが振られており、そのテーマに関連する原画が並べられていました。この並び、原作の始まりである信と漂、そして政のエピソードからではなく、のちに飛信隊のメンバーとなる仲間や王騎などとの出会いから始まります。

  • 出会い

  • 蛇甘平原

  • 王騎

  • 馬陽防衛


  • 我武神龐煖なり


  • 王騎と龐煖

  • 受け継ぐ者

  • 大将軍を目指す者たち

  • 山陽攻略戦

  • 函谷関の戦い

  • 大炎

  • 賽の攻防

  • 呂不韋の問い

  • 人の本質は光


  • 雄飛の刻

大好きな二人の将軍のド迫力の展示、たまらなかったなぁ。

原画の展示だけでなく、壁一面に展覧会描き下ろしイラストが描かれていたり、登場人物の大きなパネルなどもありました。どこに目を向けても各テーマの象徴的なシーンやセリフが踊っており、息もつかせぬ展示となっています。

また、原画を追うと物語を追うことのできる構成にもなっており、自分含め多くの来場者が目に涙を溜めながら鑑賞している姿を見かけました。改めて『キングダム』の持つ、言葉や絵には強い力があることを実感します。

「−信−」というタイトルにまさに合致した内容

仲間たちとの出会い、麃公軍として戦った初陣、大将軍・王騎、そして信の初めての大手柄という流れでどんどんと気持ちが昂っていきます。しかし同時にこんなことも思い始めます。

政が全然出てこないな。

『キングダム』は信が主人公の物語ですが、秦王である政も重要な役割を担います。作中で幾度となく物語の分岐点で重大な決断を下してきました。

しかしながら、本展示では終盤の「賽の攻防」の辺りからようやく大きく登場します。政の人間性を強く印象付ける演出としても絶大な効果を発揮していますし、冗談ではなく絵が光って見えたほど輝かしかったです。

それでも、全てのテーマを見終えて今回の展覧会はあくまで「信」の物語なのだと伝わってきました。全てのテーマで信が立ち向かった現実、戦いの軌跡、そして感情の揺れ動きが存分に描かれそこからどう成長していくのが伝わってくる構成だったと思います。

名残惜しいですがついに最終コーナー、ラフスケッチや直筆ネームや、登場人物259名のイラストがずらっと並んでいます。ここで少し余韻に浸ったのち、会場を後にしました。

グッズも充実

グッズの販売ショップは会場出口を背にして左手にあります。展覧会出口でショップ入場用の整理券が配られ、入場制限が行われていました。密集を避けることができ、商品がとても見やすいです。

メモやペンスタンドなど実用的なグッズや、

キャラクターの個性がよく出た一風変わったグッズも多数販売されています。

毎日の仕事終わりに勲功者として一杯。最高かもしれません。

本展覧会で展示される原画や描きおろしイラストを多数収録するほか、原 泰久先生のインタビュー記事、井上雄彦先生と原 泰久先生の特別対談も収録された「公式ビジュアルブック」も販売されています。

ファン垂涎のグッズたち、迷ってしまうこと間違いなしなので、公式HPで確認して目星をつけておくのもいいかもしれません!

本展覧会の最初の開催地である東京は7/25(日)まで、是非見逃しのないようご注意ください!

イベント情報

◆開催概要
展覧会名:キングダム展 −信−
英語展覧会名:KINGDOM exhibition The Road of SHIN
会場:上野の森美術館(東京都台東区上野公園1-2)
会期:2021年6月12日(土)~7月25日(日)

※会期中無休 ※全日日時指定制
開館時間:10:00~20:00 ※最終入館は閉館の1時間前まで
主催:集英社、朝日新聞社
協賛:共同印刷、ローソンチケット
お問い合わせ:050-5541-8600(ハローダイヤル 全日9:00~20:00)
展覧会公式サイト:https://kingdom-exhibit.com
展覧会公式ツイッター:@kingdom_exhibit
※開催内容は、予告なく変更になる場合がございます。

◆チケット情報

全日日時指定制。
会場でのチケット販売、当日券はありません。詳細はこちら

【観覧料】

日時指定券

一般

2,500円


大学生・専門学生

2,000円


小中高生

800円

グッズセット日時指定券

共通料金

4,300円

伍チケット

(一般日時指定券5枚綴り、

特典との引換券5枚付属)

共通料金

12,500円

※「伍チケット」は5枚とも同じ回での販売となります。別々の回を指定していただくことはできません。

【特典】


◆巡回について
会場:福岡市美術館(福岡県福岡市中央区大濠公園1-6)
会期:2021年8月3日(火)~9月26日(日)
休館日:月曜日(ただし8月9日[月]・[振休]・9月20日[月]・[祝]は開館、8月10日[火]、9月21日[火]は休館)
開館時間:9:30~17:30※金・土曜日は午後8時まで開館(入館は閉館の30分前まで)
主催:西日本新聞社、FBS福岡放送
企画:集英社、朝日新聞社
お問い合わせ:西日本新聞イベントサービス092-711-5491(平日9:30-17:30)
福岡会場公式サイト:https://artne.jp/kingdom/

チケットも販売開始!詳細はこちらから

行く前も後も必ずや読みたくなるはず!

記事内画像はプレスリリースより
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000001.000073184.html