『ジャガーン』は、『神さまの言うとおり』や『僕たちがやりました』などで、大ヒットを飛ばし続けている金城宗幸先生が原作、にしだけんすけ先生がマンガを描いているマンガです。
ジャガーンで描かれているのは、「人間の強い欲望」です。
※以下、若干の前半のネタバレを含みます。未読の方でも物語を楽しむ上では影響ない程度にしておりますが、気になる方は、本編をお読みの上、ご覧ください。
この物語の設定とあらすじ
簡単にあらすじを説明すると、舞羽市というところで、カエルのような生物が突然ふってきてきます。
それが体内に入った人間は「壊人」という化物になってしまいます。
正式名称は「マッドゼノパス」というもので、人間を基地にし、人間に宿って成長します。作中では「キチガエル」と呼ばれたりしています。
壊人は、その人の強い欲望にあった形態や能力を持っています。
主人公は、交番勤めの警官、蛇ヶ崎晋太郎です。
仕事も同棲相手もいるが、そのまま普通でつまらない未来を思い浮かべては憂鬱になり、そういった、世の中のすべてを「ぶっぱなしたい」と思っていました。
そして、ある日、酔っぱらいを介抱しながら電車にのったら、電車の中の乗客が、壊人になります。
周りの乗客を殺戮していく壊人を見て、自分の命も終わりか・・・と思ったときに、自分の指から見たことがない力がでます。
蛇ヶ崎は、に寄生したのは、まだオタマジャクシだったため、壊人になるのが遅かったのです。そして、壊人を倒せば出てくるカエルを、相棒のドクちゃんというふくろうが食べ、そこから出てくる「フンガーボール」を吸い込むと、一時的に壊人化が収まります。
蛇ヶ崎は、「壊人戦士ジャガーン」として、すべての壊人を倒し、フンガーボールを手に入れて、人間の身体に戻ることを目指すのがこのマンガの基本的な設定です。
見どころ
この作品の、一番のキモは、「欲望が力になる」というところと、「その力で、人間ではない壊人になって、周りに害をなしてしまう」というところです。
強い壊人と戦うには、自分の欲望を高めなければなりませんが、高めすぎると、壊人になってしまいます。
蛇ヶ崎は、「正しいことのために、暴力をふるいたい」という欲望が元となっています。
蛇ヶ崎と対立するとある人物は「壊人化は、持病みたいなもの。才能と言い換えてもいい」といっています。欲望は、一つの才能・能力としても扱われていますし、自分や周りを壊すものとしても描かれています。
こんな人にオススメ
能力者バトルの要素もありますし、グロテクスな敵キャラとの壮絶なアクションも楽しめます。(性描写も多い)。
人間のドロドロした部分や、頭の壊れた人たちが出てくるのは、原作者の魅力であり、そういったものが好きな人にはめちゃくちゃオススメです。
この記事を書いている筆者は、「SNS時代に、より暴走している欲望」がとてもよく描かれていて、それをバトル要素として使うのはおもしろいなと思っています。特に、正義が暴走していて、「わるいやつ」をみんなで寄ってたかって叩いて私刑(リンチ)をする炎上などは、まさに蛇ヶ崎の欲望と似ているのではないかと感じました。
酒に溺れたい、モテたい、などのわかりやすい欲望もありますが、その中で「正義という欲望」が根底として、よく出てくるところが、シンプルな勧善懲悪バトルにならずに、物語の深みを出しているところはさすがだな・・・と感じました。