ジーンブライド

高野ひと深/著

『ジーンブライド』女性の生きづらさを扱う、ラブコメという皮をかぶった近未来サスペンス!数多くの謎をはらんだ第1巻が発売!

私の少年』で人気を博した高野ひと深先生の最新作『ジーンブライド』の単行本第1巻が2021年11月8日に発売されました!

女性が抱える生きづらさに真っ向から切りこむ現代風ラブコメディー……かと思いきや、それだけにちっとも留まらない近未来サスペンス!? そんな今作のもつ、予測不能な面白さをお伝えしていこうと思います!

生きづらさを抱えた男女の物語

主人公はエンタメ系情報媒体のライターをしている女性、諫早依知(いさはや いち)。仕事に行けばセクハラ発言をうけ、家の近くでは変質者に遭遇。日々、女性であるゆえの生きづらさ感じています。

そんな彼女のもとに突然現れたのは中学の同級生だった正木蒔人(まさき まくひと)。出会い頭に「運命の相手だった」と名乗りますし、中学時代のお礼を言いにきたと語り、初っ端から依知は困惑しっぱなしです。

僕は正木蒔人。きみの運命の相手だった男だ。

最初の出会いではすげなく別れるものの、偶然なのか必然なのか、その後、何度か行動をともにすることになります。そして次第に彼の性格もわかってくるのです。物事の要約が苦手で、イレギュラーに極端に弱く、人から注目を集めるとパニックになってしまう。そんな難儀な性格をしている彼は、依知と同じように生きづらさを抱えている人間だったのでした。

そのせいか不思議と依知は彼のことがあまり怖くありません。だんだん打ち解けていくなかで、依知は同じく同級生でずっと行方が気になってた親友の近況を尋ねます。そして、それをきっかけにストーリーは膨らんでいくのです。

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これでもかと差しこまれる女性の生きづらさ

今作を語るうえで避けて通れないのは、女性の生きづらさというテーマでしょう。

冒頭に書いたように、依知は仕事ではセクハラを受け、プライベートでも変質者に頻繁に狙われています。男性の部屋に入るだけで警戒心が頭をもたげ、なんの目的か出したゴミを拾っていく男さえ現れます。

「あたしらはあんたらの事まで考えておかないと死ぬかもしれないっていうのに」

そんな女性が抱える生きづらさを蒔人が理解し、歩みより、対策を考えてくれる場面は、そのまま恋が始まってもおかしくありません。

女性の生きづらさが叫ばれるようになってしばらくになりますが、現実にはいまだに数多くの問題が残っています。だからこそ、そういった問題にフォーカスしたこの作品は多くの女性にとって共感を集めることができるのではないでしょうか。

ちりばめられた数々の謎たち

最初、今作の舞台は現在の日本だという認識で読みはじめました。しかしどうやら私たちが生きている日本とは幾分違うようなのです。

例えば霧です。濃霧の影響で公共交通機関が止まるというシーンが出てきます。飛行機だけならまだしも都市部において電車やタクシーなども霧のせいで運休するとなると、どうやら普通の霧ではなさそうです。その上、依知のセリフに「霧も出てないし、適当に着替えて出かけよ…」というものがありますから、この作品における霧は何らかの危険に満ちている存在なのではないでしょうか。

また依知と蒔人の通っていた中学校「秀光館学園」も謎にあふれています。依知が蒔人に向けて放つセリフに「あんた内部生でしょ、湿疹なんてできるはず……」というものがあります。また「外部生なんだから病気になることくらいありえるだろ」というセリフも。

どんな学校なのかは今のところ皆目わかりませんが、内部生であれば病気にならない、などという学校が普通に存在するはずはありません。

そんな小さな謎は何気なく出てきますし、女性の生きづらさの話題に気を取られているうちになんとなく読み飛ばしてしまうのです。しかし第1巻の最後でまさかの展開をむかえ、この物語がまったく普通の話でないことに気がつかされます。その段階ではじめて、サラリ仕込まれてきた謎の数々にやっと気がつくのです。

後から考えれば出会った当初、蒔人が問いかける「きみは諫早依知なんだよな?」というセリフも意味深に聞こえてきます。

多くの謎は出てきたばかりであり、今後どのように進むのかはわかりません。でもこの第1巻を読んでもらえれば、先が気になって仕方なくなるのは間違いありません!

先生直筆のコメント入り刷り出しプレゼントキャンペーン中!

2021年12月7日までの期間、『ジーンブライド』第1巻の発売を記念して、抽選で10名に高野ひと深先生直筆コメント入り刷り出しがもらえるキャンペーンが行われています。詳細は以下のツイートを参照してください。

まだまだ物語は始まったばかり! 女性の生きづらさを扱ったマンガとして読むも良し、SFサスペンスとして読むも良し。いやその両方が絡みあってくる可能性も十分ある快作マンガ『ジーンブライド』を皆さんもぜひ読んでみてください!

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高野ひと深/著