明日、9月11日は、アメリカ同時多発テロが発生した日です。そこで、2020年4月以来約1年の時を経て2021年5月21日に発売された『テロール教授の怪しい授業』第3巻をここでご紹介したいと思います。日本人が飯テロなど軽々しく使いがちな「テロリズム」とは、一体なんなのでしょうか。
そして主人公・佐藤をはじめローレンツゼミの新入生達の現在は、一体どうなっているでしょうか?
2巻までのあらすじ
ローレンツ教授の授業に半ば強制的に入れさせられ「テロリズム」を学ぶ事になった新入生の大学生達。
テロリストの行動に対し、「理解出来ない」と思考停止するのではなく「何故テロ行為に至るのか、テロリストになるのはどんな人物像なのか」を学んでいきます。
講習では生徒自身がテロリストという設定のロールプレイングゲームを行い、主観的・客観的に「テロリズム」を話し合い、思考力を深めていきました。
また、インターネットやSNS等の情報といった読者の私達にも身近な分野についても学ぶエピソードも題材として扱っています。
SNSで情報が手に入るからといってすぐに飛びついて反応するのではなく冷静な判断力を持つ事が大事であるとローレンツ教授は語ります。
3巻レビュー
第3巻ではゼミ生の一人である河村の父親がネットで見かけた過激な思想に影響を受けてしまい裁判沙汰になりかけたり、
同じくゼミ生の白川へマルチ商法の勧誘をしてくる学生に対応するローレンツ教授の言動からテロリズムを学んでいきます。
今回の巻は「テロへの思考」を身近な題材によってより意識させ関心を高めさせられる構成であると同時に、オウム真理教や9.11といったかつてのテロについても触れており、だいぶ時間が経過し記憶が薄くなりつつある自身についても自覚させられました。(もしかしたら事件自体知らないという読者層もいるかもしれませんね)
また、珍しく(?)大学のゼミらしい授業のエピソードも。論文を書く際に必要な要素「主張と根拠」について正確に理解できているかを生徒達に「ナラティブ(語られている物語)」を例に挙げて問いかけます。
情報を見聞きする重要性
第3巻あとがきで原作者のカルロ・ゼン先生はこう述べています。
世間一般では『自分たちとは全く違う人』として語られている人々が、『普通の人にしかみえません』というお話、第三巻を書いていく上では常に意識していました。 いっそ、悪い奴らが、本当に悪い連中なら話は簡単でしょう。 でも、違いました。 良い人が、良かれと思って行動していても、地獄への道が善意で舗装されてしまう。 そんな出来の悪い脚本のようなことが、世の中には現実としてありえるのです。
普段自分が見聞きしている情報が果たして本当に間違いではないのか、仮に途中で間違いに気づいた時に引き戻る事が出来るのかと考えさせられる第3巻でした!
▼第1話試し読み