飛龍で移動し、魔法で畑に雨を降らせ、箒で街へ出かけていく…。物語の中のファンタジーな生活に憧れたことはありませんか?
綿密に練り込まれた魔法と生活が関わる世界を楽しみたいと思ったときに、オススメの作品が『ニーナさんの魔法生活』です。わたしたちも魔法学校の生徒になった気持ちで、本作の魅力を紐解いていきましょう!
自分の想像だけでは凝った世界観を再現することは難しいかもしれません。ですがプロの手によって描かれたマンガの世界中ならば、リアルな解像度で魔法のある生活への想像を巡らせることができます。
さぁ、新しい魔法の世界へ。
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生真面目な居候の訓練生アイリス・バーベナー
魔女育成の最難関校であるファフニウス魔法学校。同校初等部を主席で卒業したアイリス・バーベナーは中等部のカリキュラムの一環として、実地訓練をするためにとある山奥へ訪れました。
アイリスはとにかく勉強熱心なタイプの女の子。決して運動が得意そうには見えない彼女が1時間以上山道を歩き続けるという行為は、まるで1つの物語を組み立てんとする勢いです。
そうして読者が彼女の体調を気にかけるようになる頃に、ようやく実地訓練先である世界最強の魔女が棲む家を発見します。
世界最強の魔女ともなると、どのようなオーラを持つ人物が出てくるのかとワクワクと緊張が止まりません。それはきっとアイリスも同じ気持ちなはず。2つの感情が混ざりながらページをめくると、そこには明るい農家のお姉さんを彷彿とさせる朗らかな女性が現れました。
この瞬間こそが、心温まる魔法生活の幕開けなのです!
マイペースでオタク気質な魔女のニーナ
アイリスが実地訓練の下宿先として赴いたのは、世界最強と呼ばれる魔女・ニーナの自宅。しかし身構えていたアイリスに反して、この人が世界最強…?と思わずにはいられないほど、ニーナはマイペースな女性でした。
しかし彼女の使用する魔法はどれも理論度外視の一級品。教科書を見て真似れば上級を超える難しさの魔法ですが、ニーナは複雑な理論など関係なしに感覚で魔法をやってのけてしまう程の天才肌です。
一方、完全な感覚派かと言われるとそうではありません。特に薬草学の知識は圧倒的なもので、知っている言葉で表現すれば薬草オタクというネーミングがしっくりくるマニアックさです。
そして何といっても時折彼女が見せる柔和な笑顔、この笑顔こそが読者を心地よい魔法の世界に引き込むニーナ最大の個性なのではないでしょうか。
作り込まれた奥行きの深い世界観
本作最大の魅力は作り込みが深い世界観です。まず、この世界の基本となる魔法は魔方陣の記述や呪文の発動により行われる、地脈エネルギーの活用法を指します。
そして魔法の元となる地脈エネルギーはマザーと呼ばれる龍のような姿をした存在から供給されているため、無制限で無秩序というわけではありません。しっかりとした根拠に基づき、この世界の住民は恵みを受けているのです。
またニーナが初めて見せた手紙を選別する魔法は身近なもので表現すればCtrl+Fのような機能であったり、畑にはウサギやネコといったかわいらしい動物を彷彿とさせるニムルという生き物がいたりと、どこか心の距離は近しいところに作品世界は置かれています。
実際にはありえない魔法の生活ながらも、わたしたちの生活にどこか寄り添った法則で働いている魔法の力に、自然と本作の世界観が体に流れ込んでくる心地よさを味わえるのです。
高い解像度を遅滞なく伝える圧倒的な画力
解像度が高い世界観は、しっかり理解できればこの上なく魅力的な要素です。ただし小説ではないので、あまりに文字情報の量が多いと読者がストレスを感じてしまうかもしれません。
そこの塩梅は何も心配する必要がなく『ニーナさんの魔法生活』においては、情報量の多さと読み手への負担を最大限に配慮し、魅力的な世界観が繊細な描画により再現されています。
文字だと圧迫感を与えてしまう場面でも、情報量の多い絵で世界を補完しているため読者がストレスを感じることはありません。
本作は文字と絵が非常に心地良いバランスを保ちつつ、合間にちりばめられている圧倒的な画力のおかげで作品の魅力が最大限に引き出されているのです。
収まりきらない世界観の広がりに目が離せない!
練り込まれた世界観に加え、彼の地での生活がリアルに想像できるような圧倒的な画力、そしてそこで生きる彼女たち。『ニーナさんの魔法生活』には、本当に営まれている生活をのぞき込んでいるような魅力が秘められています。
そして物語を読み進める内に片鱗を見せ始める、不穏な影。異世界でのゆったりした生活を脅かさんとする存在に、ニーナ達はどのように関わり合うのでしょうか。
まだまだ広がりゆく世界や、世界最強の魔女の謎が紐解ける瞬間を見逃せません!