バトルグラウンドワーカーズ

竹良実/著

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格好良く世界を救うだけがロボットものじゃない。『バトルグラウンドワーカーズ』 

人知れず世界を救う「はぐれ者」たちの戦いが始まる。

バトルグラウンドワーカーズ
竹良実/著

25年前、世界各地に出現した謎の生命体「亞害体」。世界中で87万人もの命を奪い、日本の一般市民を震撼させたその存在は、現代では全く報道されることが無くなっていた。

30歳の誕生日を怪我による入院のため病床で迎えた平 仁一郎(たいら じんいちろう)は、仕事を失い自分の存在価値を見失いかけていた時に、政府から「人類連合」の審査に合格したとの通知を受ける。

「人類連合」は「亞害体」と人知れず戦い続けており、そのおかげで一般市民は平和に暮らしていると知った仁一郎は、自分の居場所を見つけたと確信し、人型兵器「RIZE(ライズ)」に搭乗することを決意するー!

と、冒頭のあらすじを書けば格好良いのですが、主人公の仁一郎をはじめ、「RIZE」に搭乗する登場人物は、社会に適合が出来なかった「はぐれ者」であり、危険な戦いによって命を落としても一般市民には影響がないから政府に選ばれたのでは…?と作中の人物が推察しています。

バトルグラウンドワーカーズ(1) (ビッグコミックス)
竹良実/著

表紙で仁一郎の背後に立っているのが「RIZE」です。

「RIZE」の外見は、ロボットアニメでよく見る「世界を救うために選ばれた主人公が乗る特製のロボット」ではありません。

無骨。

人間型なのに頭部にはカメラがあるだけ、というデザインがそのことを象徴していると感じました。

※竹良先生が描くと格好良いのですが、それはまた別の話。

そして、描かれるエピソードも、

・他の部隊が戦い続けるために稼動のバッテリーを届ける

・銃の分解と組み立てを生身で練習したのに「RIZE」の腕が故障して成果が発揮できない

などであり、派手なものではありません。

ですが、この地道な成果にやり甲斐を見出し、折れないで奮起しようとする仁一郎の等身大の姿に胸が熱くなります。

それでも努力する。

「希望に向かう物語」ではないからこその読み応え

竹良実先生の初連載作『辺獄のシュヴェスタ』は希望と絶望のバランスが絶妙で重厚な物語であり、主人公の大切な人が命を落とす展開が何度かありました。

なので、『バトルグラウンドワーカーズ』が、「「亞害体」の親玉を倒して、全員が生還してハッピーエンド!」という単純明快な結末を迎えないだろう、という確信は今の時点であります。

「RIZE」は人間が直接乗り込むわけではなく、基地の操縦席に座って、意識だけを飛ばして遠隔操作するような作りになっています。

この遠隔操作から強制切断をして緊急脱出が出来るのが生涯で5回までとなっており、ヒロインポジションの能倉さんが既に5回強制切断をしている状態から物語が始まっているのがすでに怖いです。

能倉さんがヒロインになってほしいですが、どうなるのでしょう。

自分の命も大切にしてほしい。

そして、「亞害体」が腐食しないなど、1巻だけですでに心に引っかかる描写がいくつもあり、外れて欲しいんですが「人間VS人間なのでは?」という疑念があるので、仁一郎や「人類連合」側だけのドラマにはならずに、分厚い物語になると確信しています。

2巻を読むのが怖いですが、仁一郎の成長も、能倉さんの行方も、世界設定が明かされるのも楽しみで、2019年大期待の新作!と堂々と言える読み応えです。

竹吉実先生のTwitterで第1話が無料で読めますのでぜひ!!

バトルグラウンドワーカーズ(1) (ビッグコミックス)
竹良実/著