「マチネ」とは舞台興行の昼公演、「ソワレ」とは夜公演を意味するフランス語を語源とする用語です。
「昼」と「夜」は同時に存在しえないもの。
そんな「同時に存在しえない状況」を『マチネとソワレ』ではパラレルワールドの手法を用いて描かれています。
2号と呼ばれる弟
主人公・三ツ谷誠は幼いころから芝居に魅了され役者として活躍していますが、何故か周囲からは「2号」という変わった呼ばれ方をしています。
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その理由は亡き兄・御幸が天才役者として有名だった為、世間からも親からも御幸と比較され誠自身の芝居・存在を認められず「(御幸の)2号」という扱いを受けていたのです。
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ある日、世界で活躍する柁原勝監督の作品「バニラフィクション」の主演を務めることが発表された記者会見でも自身についてではなく出るのは御幸の話題ばかり。
失意に陥って乗車した水玉のタクシーから降りると、そこは「バニラフィクション」が発表される5年前。尚且つ、御幸が生きて有名俳優として活躍し、誠自身が死んでいることになっている世界でした。
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もう一つの世界
もしもこの世界で自分の正体を伏せて「バニラフィクション」の主役を掴めたら、自分自身が役者として御幸に勝ったことになる。そう思いついた瞬間、誠の新たな役者人生の幕が上がったのです。
1巻に登場する誠自身を認められたい気持ちを見開き一杯に叫ぶシーンは、まさに舞台の主人公さながらで圧巻されます!
自分自身を見て欲しい、認めて欲しいというストレートな誠の気持ちは私達読者の心を掴み誠自身を応援したくなります。
その後誠は映画監督を目指し挫折したヤクザの二代目であり誠のマネージャーを務める世良丞(さとる)と、その妹で御幸ファンかつオタクの碧のサポートとアドバイスによって無理難題のような舞台をこなしていきます。
ある時は、誠が舞台で失態を犯した際に丞に指を詰め、詫びを入れてもらうことでピンチを切り抜け…。
またある時は、2.5次元の舞台では"二次創作をするファンにより突然人気が出たキャラ"の役をこなす難しさを碧から教わり、役者としての幅を広げていきます。
2.5次元舞台に立つ俳優さんの苦労「マチネとソワレ」① pic.twitter.com/jpgYp2TZMd— 大須賀めぐみマチソワ8巻発売中 (@m_osuga) February 12, 2020
交錯する運命
しかし、尚も立ちはだかる御幸の才能に苦悩する誠。そんな時にも関わらず、御幸と舞台で共演することに!
舞台作品は江戸川乱歩の小説「孤島の鬼」。
今回の誠の配役は主人公の青年・蓑浦(みのうら)に恋心を抱く青年・諸戸。同性に恋愛感情を抱く役、ましてその相手役が実の兄という難しい状況でどの様に役をこなすのか?と、今後も目が離せないストーリー展開が続きます。
舞台が好きな人には勿論オススメですが、次々と主人公を襲う困難をどう乗り越えてライバルに立ち向かうかという少年マンガさながらのアツい作品なので是非バトルマンガ好きの人にも読んで欲しい作品です!
第一話はゲッサンWEBにて試し読みが出来ます。