マーブルビターチョコレート

幌山あき / 著

『マーブルビターチョコレート』パパ活にやって来たのは女性!?pixivで話題の作品が単行本化!

「ジャンププラス」での読み切り『二番目の運命』が54万以上のPVを叩きだした幌山あき先生の単行本『マーブルビターチョコレート』が2021年9月10日に発売されました!

pixivやTwitterに掲載していた際に大きな話題を呼んだ作品で、このたび大幅に修正・加筆をして単行本化されたものになります。

パパ活から始まる二人の女性の恋と生き方の物語

「かわいいとたのしいだけの人生」を求め、パパ活を繰りかえしていたりこ。ネットで新しいパパを探していたところ下心がなさそうで紳士的な人からメッセージが来ます。いざ会ってみることにしたところ、現れたのは東(あずま)と名乗る女の人でした。

りこは目の前に現れたのが女性であることに驚きます。最初はパパ活を取り締まる警察官なのではないかと思い逃げようともします。しかし落ちついて話せばすぐに誤解はとけ、持ち前のコミュニケーション能力の高さで打ち解けてゆくのです。

「貴方のことが知りたい」という東の言葉をうけ二人は化粧品売り場に向かい、マニキュアを物色しながらりこは言います。

色んな色で塗ったら マーブルチョコみたいで可愛くないですか?

そんな言葉にのせられて東はマニキュアを購入。パパ活の話などを聞きながら、屋外の喫茶テーブルでりこにマニキュアを塗ってもらうのです。マニキュアがもつのは1週間程度。1週間後にまた会う約束をして今日のお金を渡し、その日はお別れしました。

パパ活女子とパパという関係性を超えて、互いになにか感じるものがあった二人ですが、東がりこに近づいたのは実はある目的があったからなのでした。

価値観のぶつかりあいが描きだす覚悟の形

『マーブルビターチョコレート』は「お題箱」にて作品のテーマを募り描かれはじめた作品です。そのときに寄せられたお題は「百合になる二人の話をお願いします」というもの。

実際に二人の気持ちは少しづつ重なっていき、恋愛感情のようななにかがそこに生まれます。それは百合と言っても間違いではないでしょう。しかし今作で描かれるものは単に女性同士の恋愛だけではありません。描かれていているのは人生に対する覚悟の形なのです。

普通に過ごしていればすれ違うことのなかった二人が出会い、互いに理解が進んだとき。せきを切ったように抱える覚悟が顕在化し、物語は思いもしなかった方向に進んでいくのです。

誰しもなにかしらの覚悟を持っているものですが、主人公二人のもつ覚悟の形をまざまざと見せられたときに、私たち自身がその覚悟をどう応えたらよいのかを自問せざるをえません。目をそらすことのできないその結末に、ぜひ注目してください!

オリジナル版と比べて読むことができる

『マーブルビターチョコレート』はもともとpixivで掲載されていた作品で、単行本発売後もそのオリジナル版を先生のpixivまたはTwitterで読むことができます。

単行本化にともない全ページ修正され、大きなところでは書下ろしのエピソードあとがきが加筆されています。

先生はこんなことを言っていますが、書下ろしでは本編に関わる重要なエピソードを補完していますし、あとがきを読まないとこの作品は本当の意味で完成しません。またカバー裏にも心を打つ仕掛けがほどこされています(電子書籍版でも確認できます)。オリジナル版を読んで心を動かされた人は絶対に単行本を買った方がよいです。

彼女たちが持つ覚悟の形に是非みなさんも触れてみてください!

マーブルビターチョコレート (ビームコミックス)
幌山あき/著