『ヤンキー君と白杖ガール』は、うおやま先生による顔に傷を負った最恐ヤンキーと盲学校に通う弱視の女子高生2人が織り成すラブコメディです。
それぞれ違う生き方をしてきた若者2人が出会うことで、お互いの世界が交わり広がっていく様を笑いときゅんをたっぷり交えて描かれる本作。
2021年10月からは日本テレビでドラマ化され放送も決定しています!
主人公たちのピュアな恋模様を楽しみつつ、社会の在り方について読者に新たな気付きを与えてくれる作品をご紹介します。
恋の始まりはおしりに刺さった1本の白杖から
物語は街の最恐ヤンキーである黒川森生(くろかわもりお)と白杖を携帯する女子高生・赤座ユキコ(あかざゆきこ)の出会いから始まります。
黒川は地元では黒ヒョウのモリと呼ばれ恐れられているヤンキー。小学4先生の頃に顔に傷を負い、その原因となった高校3年生のヤンキーを返り討ちにしたことから周囲から距離を置かれていました。
子分たちを引き連れて街を闊歩していたところ、突然白杖でおしりを刺されます。驚く黒川たちの前に現れたのは、白杖を持った女子高生・赤座ユキコでした。
ユキコは盲学校高等部に通う2年生。全盲ではありませんが光と色がぼんやり見える程度の弱視です。
子分の緑川花男(みどりかわはなお)は、黒川が超コワモテであることを告げますが、そもそもユキコは黒川の顔がよく見えていない様子。
口頭での説明を求められ黒川は少々盛りながら自身が最恐ヤンキーであることを話します。
そして顔の傷の話をした途端、ユキコは突然黒川の頬に両手を伸ばし自分の方へ引き寄せてじっと顔を覗きこみます。
傷のことを知らされ本気で心配するユキコ。その真剣な眼差しに心を打たれる黒川。
この出会いをきっかけに、ヤンキーとして生きてきた黒川と弱視を抱え生きてきたユキコの2人の世界が交わっていきます。
大好きな人を想う気持ちがやがて社会を変えていく
本作の魅力ともいえるユキコに対する黒川の溺愛っぷり。読んでいるこちらまで顔が熱くなりそうなほど、真っすぐ愛情表現をする黒川にきゅんきゅんしちゃいます。
そんな黒川は大好きなユキコに出会ったことで、世界の見え方がガラリと変化。
今まで何気なく暮らしていた社会は、弱視のユキコにとってお世辞にも生きやすい環境とは言えないことに気が付きます。
そして大好きなユキコのために、目の不自由な人でも暮らしやすい社会を目指し行動を開始。
手始めに黒川の宿敵でもあった金沢獅子王(かなざわししお)が店長を務めるレンタルビデオショップに掛け合います。
しかしお金や労力などの問題から改善は難航。
それでも誰かの力になろうと行動する黒川の姿を見て、次第に周囲の意識にも変化が現れます。
そしてレンタルビデオショップの環境を改善しようと動き出した結果、ユキコだけではなくお年寄りにとっても良い環境に変化したりと、多方面にいい影響をもたらしていくのでした。
大好きな人のために何かしてあげたい、という強い想いが黒川自身を変え、環境を変え、やがては社会をも変えていく。
誰もが生きやすい社会を作っていくために必要なことは、純粋に人を想う気持ちなのかもしれないと気づかされます。
音声ガイド風ナレーション付きボイスコミックが公開中!
YouTubeのKADOKAWAチャンネルにて『ヤンキー君と白杖ガール』のボイスコミックが視聴できます!
コミックスに収録されている1話から5話がボイスコミックで楽しめますよ。
黒川森生役は人気声優の下野紘さん、赤座ユキコ役は同じく人気声優の鬼頭明里さんです。
黒川とユキコのピュアな反応がよりリアルに再現されていて、思わずキュンキュンしちゃいます!
また通常のボイスコミックとは別に目の不自由な方にも楽しんでいただける音声ガイド風ナレーション付きボイスコミックも公開中です!
キャラクターたちの動きや表情などマンガに描かれている情報を一つひとつ丁寧に説明しつつ、ストーリーを楽しめる仕様になっています。
音声ガイド風ナレーションを主に務めているのは、赤座ユキコ役の鬼頭明里さん。情景がより詳細に語られることでストーリーにぐっと惹き込まれていきます。
両方のバージョンをどなたでも楽しめる仕様になっていますので、ぜひチェックしてみてください!
好きな人と幸せに暮らすために今できること
福祉やバリアフリーと聞くとつい難しく考えてしまいがちですが、好きな人と幸せに暮らしたい、そんなささやかな気持ちが社会を変える第一歩なのかもしれません。
黒川とユキコのピュアな恋模様にきゅんきゅんしつつ、今の在り方を考えさせてくれる優しい物語『ヤンキー君と白杖ガール』。ぜひ読んでみてください。