リトル・フォレスト

五十嵐大介/著

里山の穏やかな生活とおいしい食べ物。でもスローライフって忙しい!『リトル・フォレスト』

東北地方の集落「小森」の、古い一軒家でひとり暮らしをしている、いち子。朝は家に飛び込んできたキツツキが柱をつつく音で目覚め、夏の夜にはホタルやオナガミズアオなど、たくさんの訪問者たちがやってくる。

ひとりだけど、にぎやかで瑞々しい生活がそこにはあった。

リトル・フォレスト(1) (アフタヌーンコミックス)
五十嵐大介/著


里山に生きる毎日。ひとり分の毎日

田植えをし、稲を刈る。畑に苗を植え、収穫する。自分の食べる分だけ。

朝食には、庭のミントやクレソンをフリットにし、フライドエッグと一緒に自家製バゲットにはさんでマヨネーズをかけて食べる。これがまた、とにかく!とてつもなく美味しそうなのです…。

お皿にこぼれた卵の黄身を丁寧にパンで拭って最後のひとくち。きちんと手を合わせてごちそうさまをしたら、すぐ苗を植える作業にかかる。夕食は山菜のてんぷらだ。いち子の一日は、自分が食べるものを作る行為だけでなんだかとても忙しい。

日本での映画化に続き、韓国でも映画化!

いち子の葛藤

いち子は小森で、他の誰でもなく「自分」のために生きている。時々、出て行ってしまった母親を思い出しながら。胸をきゅっと締め付けられるようないち子の過去や葛藤。

「その場その場を一生懸命に生きているが、本当は逃げてるんじゃないか。」

小森の人たちとの会話から、いち子は少しづつ自分と向き合い始める。

見たことない、でも絶対おいしい小森の食べ物

小森の食文化が本作品の大きな柱だ。

フキノトウをみじん切りにして味噌と合わせた「ばっけみそ」や、空炒りした川えびと、みりんや醤油のタレと餅をあえた「えび餅」。

その他にも「ミズとろろ」「くるみごはん」などなど…魅力的な食べ物があふれている。

食べたことないけど、絶対おいしいに決まってる!そう思っても、どれも材料を採ってくるところから始まるので、ご家庭で簡単に再現することはできないのだ。


エッセイのように里山の日常を描いたフィクション

作者の五十嵐大介先生ご自身の経験をもとに描かれた本作品は、匂いや音まで届きそうなほどリアルです。だからこそ、読者にとっては非日常。

一度は憧れる「里山での生活」を、『リトル・フォレスト』を開いて体験してみませんか。

地域に根ざした食べ物がたくさん出てくる本作品は、料理や食べることが好きな方に特にオススメです!

リトル・フォレスト (全2巻) Kindle版