切なく報われない想いを抱く少年少女達の青春を描いた作品『クズの本懐』がアニメ化された横槍メンゴ先生の短編集です。
『一生好きってゆったじゃん』のタイトルでも伝わってくるのですが、若い女性達の「好き」という想いと共に報われない「不幸」と、それでも存在する彼女達の中の「しあわせ」が交錯した作品が纏められています。
切なさと重苦しさと
薄暗い性描写が多く、切なさと重苦しさがあるものの、横槍先生の可愛らしい女の子の絵によってその苦しさも心地よく感じる読後感が堪りません。
書籍化する以前にこの中の何本かを雑誌「スピリッツ」で読んでいたのですが、
「自分が読みたくて読みたくて仕方なかった空気が描かれている!」と興奮と感動を覚えてアンケートに感想を書いたくらいとても好みの世界観です。
彼女達の「好き」は永遠に手に入らない
本気で恋に落ちた相手は既婚者で結ばれず、その相手の親友と結婚した後に不倫関係になる「鋼の心」、好きだった女の子の心無い言葉でショックを受けた青年の現実逃避の妄想から生まれた美少女キャラ「ミユ」の視点で描かれた「Neo Dutch Wife」など、綺麗なだけではない歪な恋が描かれています。
横槍メンゴ短編集【一生好きってゆったじゃん】
2/28(金)発売です!表紙めちゃくちゃ可愛くしてもらいました💜💜💜めちゃくちゃいろんな気持ちをギュッ💐と詰め込んでありますので!是非!よろしく!お願いします!https://t.co/WpFXRKjqam pic.twitter.com/ReRrmdtyxr— 横槍メンゴ🎈🧸『一生好きってゆったじゃん』2.28発売 (@Yorimen) February 4, 2020
特に私の心に刺さったのは「南無阿弥陀だいすき」という作品。
バンドマンの彼氏・ユーゴが大好きで大好きで、他の女の子と遊んでいようとメンバーの前で貶されても怒らない女の子。
自己評価が低く、ユーゴのことを神聖視する彼女は、対等な関係を築きたいと思っているユーゴに対して
「いっしょう あたしの神様でいて下さい…」
と跪いて祈るように口にします。その後別れたであろう彼女が歩く街中での視界が見開きで表現され、それを見た瞬間
「嗚呼、ユーゴは愛する彼女の為に本当に神様になったのかもしれないな」
という感動と切なさが胸いっぱいに広がりました。
私自身、世間で「神」と呼ばれるタレントの大ファンで、彼女の様にずっと神様みたいな存在でいて欲しいくらい尊敬する強い思いがある為、とても感情移入してしまう作品でした。
一生「好き」と彼女達に言い続けてくれる男性が居ないことは悲しいことかも知れません。
しかし彼女達の「好き」という想いは永遠に存在し続け、私達読者の心を一生離してくれないのです。
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