『寄生獣』の作者・岩明均先生がお送りする歴史異形ミステリー。あらゆる物体を消し去る超常の力を継承する丸神の里。彼らが能力を維持しながら土地を守り、待ち続けているものとは。
里に伝わるしきたりや祭事、里の地形などが複雑に絡む壮大な物語に引き込まれること間違いなし!
超能力者のナン丸くん
「ナン丸」の愛称をもつ青年・南丸洋二くんは、「新技能開拓研究会」というサークルの部長をやっています。ナン丸くんはなんと!盛大なかけ声とともに集中すると、目の前のコップにちいさーい穴をあけることができるのです!冷静に考えると確かにすごいんですが、超能力というには、だいぶ地味…。かけ声だけはすごいんですが。
大学教授が謎の失踪
そんな時、ナン丸くんの通う大学の教授・丸神正美先生が失踪したという相談を受けます。ナン丸くんに相談に来たのは、丸神ゼミの講師・江美先生。丸神先生もナン丸くんとそっくりの力の持ち主だったのです。
穴の開き方は丸神先生のもののほうが大きいですが、同じ力っぽい!超能力の秘密を丸神先生が知っているかも。ナン丸くんは江美先生と丸神ゼミの学生たちと共に、丸神先生の出身地である丸神の里に向かいます。
丸神の里では超能力による猟奇殺人が発生
丸神の里では猟奇的な殺人事件が発生したばかり。丸く穴の開いた窓ガラスや消し去るようになくなった頭部の状態を考えると、なんかナン丸くんの超能力にそっくりのような。これは失踪した丸神先生のしわざなのでしょうか?
何千年に渡る歴史を辿ってるみたい!
現代に起こった猟奇殺人は、丸神の里の古い歴史と関係していました。不思議な力が継承される里の秘密が徐々に明らかになっていくんですが、織姫と彦星が出会う七夕伝説や、里の地形や祭りの習慣など、地方に語り継がれる歴史を紐解いているかのようです。
丸神の里に伝わる「カササギ」「円」「手のひら」が描かれた旗。この旗の模様があとで大きな意味をもつなんて!(気にしておいてね!)
新しい日本人現る!
さわやかに語る彼、どうやら日本人らしいです。どうして日本人がこんななっちゃうのか。この方はどう見ても宇宙人です。
なんの役に立つかも分からない超常の力ですが、もしかしたら私たちの予想を超えた「意味」があるかもしれない。展開の予測がまったくつかない!先が気になる!
世界には七夕伝説っていっぱいあるのですが、こういう伝説が生まれたきっかけには「実在の」何かが関係しているのかもしれません。『七夕の国』をきっかけに、ハロウィンやクリスマスの由来にも想いを巡らせたくなりますね!