三千世界を弔って

二ツ森曜子 / 著

『三千世界を弔って』終われぬ終わりを弔うため、神様とロボは終末世界を渡る

人の痕跡が残りつつも、何かの理由で人がいなくなってしまった「終末世界」。そんな、いくつもの「終末世界」を、神様とメイドロボのふたりは渡り歩きます。

終われずにいる世界が、そっと終わりを迎えられるように。

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マグコミで連載中『三千世界を弔って』は、二ツ森曜子先生が描く、神様とメイドロボの「終末葬送紀行」マンガです。どこかへんてこな世界で行われる、ほのぼのとしたふたりの弔いは、やさしくわたしたちの心に染みていきます。そんなやさしく素敵な本作の魅力をご紹介します!

どこかへんてこな終末世界

人がいなくなってしまった「終末世界」。様々な理由で人がいなくなってしまったその世界は、どこかへんてこで不思議な世界です。

水浸しになっている世界、占い屋だらけの世界、キノコだらけの世界、猫まみれの世界。

そんなへんてこな世界にも、人々の営みがあって、その痕跡が残されています。

空も風も街もそのままに、終わってしまったけれど、終われずにいる世界。神様とメイドロボはそんな「終末世界」を巡り、人々の魂…想いを弔います。

ほのぼのとしたふたり

「終末世界」という、どこか重くなりがちな世界観ながらも、ほのぼのとしたふたりのキャラクターは、わたしたちをやさしく物語の世界へと導いてくれます。

ポンコツ真面目なメイドロボ👉ミコ

メイドロボットのミコは、高性能なロボットで見た目も人間そっくり!防水機能も完璧です。

空気や水の成分を分析したり、「終末世界」での旅をサポートしてくれます。

性格は真面目で、頼られるのが好きです。命令でなくても、ついついヨミの言うことを聞いてしまいます。

一方で、レシピ無しで料理をすると、食材を焦がしてしまったり、おだてられると喜んだりと、ロボットとしては、ちょっとポンコツな面もあります。

けれど、それがどこか人間くさくあり、ミコのかわいい一面でもあるのです。

どこかあやうい、かわいい神様👉ヨミ

見た目は人間の子どものような、かわいい神様のヨミ

ヨミは黄泉神(ヨモツカミ)という、黄泉の国つまり死後の世界にいた神様です。

元々は死後の世界で、訪れた魂を流し、現世での穢れを浄化することで、魂を送り出していました。

そんなヨミにも、ある日世界の終末が訪れました。誰も居なくなった世界で、呼ぶ声に導かれながら、神様として弔いの旅に出ました。

弔うためなら、自分の身すら危険にさらす、その姿にはどこかあやうさを感じます。

けれどもヨミはとてもやさしい神様です。「終末世界」で出会った、命令を失ったロボットのミコを救い、共に旅を続けています。

そして、終われぬ世界に残った未練を探し出して、きちんと弔っていきます。

その姿は子どものようながらも、慈愛に満ちた女神のようで、とても素敵なんです。

本をそっと閉じるように

ふたりが巡る「終末世界」には、終われぬ未練、想いようなものが残っています。

そんな想いをふたりは探し、弔っていきます。

開けたままになってしまった本を、終われずにいた物語を、ふたりはそっと閉じていきます。

これで良かった、意味はあった、あの時の願いは叶ったんだよと、そんなメッセージが感じられます。

物語を読んでいく内に、読者である自分を肯定してくれているような、そんなやさしさに包まれていきます。

やさしく、ちょっとセンチメンタルなふたりの物語をぜひ読んでみてくださいね。

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三千世界を弔って 1巻 (ブレイドコミックス)
二ツ森曜子/著

関連リンク

二ツ森曜子先生 デビュー作品 読み切り『歴史庁みんなの歴史課』(「月例マグコミマンガ大賞」2018年7月期 佳作)

『三千世界を弔って』マグコミ作品ページ

マグコミ「【今月の第1巻】Comics introMAGtion【2021年4月刊】」ページ(二ツ森曜子先生への創作一問一答も掲載)

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