僕のソルシエール

夕希実久 / 著

『僕のソルシエール』僕の初恋の相手は魔法使いなのかもしれない

マリーミー!』の夕希実久先生による『僕のソルシエール』は、4人兄弟の末っ子・上坂和飛(うえさかかずひ)が、おじいちゃんの家の近くで双子に出会ったことから始まる切ない恋物語です。

顔もそっくりな双子の名前は、遥(はるか)と遼(りょう)。和飛はもう一度会ってみたいと思い、祖父の家に行くたびに双子と出会った神社に行きますが、その後、一度も会うことができずにいたのです。

やっと再会した双子は

中学生になった和飛は、亡くなったおじいちゃんの家に引っ越してきたことがきっかけで、双子に再会します。出会った時と変わらない様子の遥と遼の姿に、和飛はうれしさでいっぱいになります。

しかし、訪れた双子の家には、遼の遺影が飾られていました。出会った日の翌日、遼は事故で亡くなってしまい、それ以来、遼は遥にしか見えない存在として漂っていたのでした。実の両親にも見えない遼のことが見えたのは、遥以外で和飛が初めてだったのです。

ソルシエールとは魔法使いのこと

誰にも見えない遼と話す遥は、学校ではちょっと浮いた存在になっていました。それでも遼のことを大事に想う遥は気にしません。そんな遥のことを和飛は改めて意識し始めるのでした。

ソルシエールというのは、フランス語で「魔女」を表す言葉です。少しですが現世に影響を与えることができる遼は、自分のことを「幽霊じゃなくて魔法使いになった」と考えようとします。

タイトルを改めて考えると「僕の」ソルシエール、なんですよね。このタイトルだと、どことなく男の子目線のような気がしてしまします。

遥が笑うと、和飛と遼にとっての世界はキラキラと輝いて見えます。もしかしたらタイトルの『僕のソルシエール』は、和飛と遼にとっての遥のことかもしれません。

双子をつなぐ存在が和飛

遼は、身体は成長していますが、遥にしか見えない存在になってしまっています。遥がいなければひとりぼっちの存在です。逆に遥も、誰にも見えていない遼ばかりを構うことで、現実世界では友達もおらず、ひとりぼっちになっていました。そんな双子をどちらもひとりぼっちにさせない存在が和飛なのです。

いつか別れがくるかもしれない

和飛たちの近くで、安心した犬の霊が消えたことがありました。遼も同じように、いつか消えてしまうのかもしれません。和飛は遥のことが好きなのですが、たぶん遥と遼の二人のことも同じくらい好きで大切なんですね。

遼のことが今もずっと大切な遥と、同じく遥が大事だけど現実も大事にして欲しいと思っている遼。遥のことが好きだけど、二人のことも大切な和飛という、現実と魔法の世界が入り混じった不思議な三角関係が、本作の魅力です。

魔法のように大切な日々が味わえる

見えなくても大切な人との記憶はキラキラしたままですよね。人を想い合う優しい気持ちの詰まった物語、ぜひ読んでみてください!

僕のソルシエール (全2巻) Kindle版