秘密基地、天体観測、深夜徘徊、添い寝。
これらの言葉に一つでもピンときたら、『君は放課後インソムニア』を読むことをオススメします。
タイトルにある「インソムニア」とは不眠症のこと。夜になっても眠ることができない主人公たちの青春グラフィティです。
あらすじ
不眠症の女子高生と真夜中に海を見に行く男の子の話① pic.twitter.com/vMAzbXYtPp— あさイチで話題!君は放課後インソムニア公式 (@nekoteraphoto) September 13, 2019
——保健室に入りびたるなんて問題のある生徒みたいじゃないか。
石川県能登の高校に通う主人公のガンタは、神経質な性格で「不眠症」という悩みを抱える。そのせいで日中はクラスメイトに不機嫌な態度をとってしまい、嫌われ者のガリ勉くんというポジションだった。
そんなガンタは「不眠症」という同じ悩みを抱えるクラスメイトのイサキと、あることがきっかけで仲良くなり、お互いの秘密を共有することになる。
『富士山さんは思春期』『猫のお寺の知恩さん』で知られているオジロマコト先生による作品。
石川県七尾市が舞台となっており、連載開始から一年未満にも関わらず、すでに多くのファンが聖地巡礼として足を運んでいるほどの人気っぷりです。
部活動とは名ばかりのデート
ガンタとイサキの寝床だった天文部の部室を守るため、新生天文部が発足され、二人だけで一から部活動を始めていきます。
深夜にこっそり家を出て散歩をし、海辺で朝を迎える二人。学校の屋上で月を眺める二人。どれも羨ましすぎるシーンばかりです。
そんな二人に臨海学校という試練が舞い込んできます。
イベントの前は、寝なくてはならない焦りから全く眠れない上に、二泊三日で他人と一緒にテントでなんて寝な羅れるはずもなく、不眠症にとっては地獄の三日間。
案の定ヘトヘトのガンタでしたが、二日目の夜、曇りだった夜空は満点の星空へと模様を変え、天文部としてイサキと誰もいない浜辺で落ち合います。
夜の日本海、少し怖くなるほどの星空。それらを撮影した後、被写体はイサキの方にシフトしていきます。
「あたしはね、中見とくっついて寝た時がいちばん眠れたの。」
「俺も...」
「中見の心臓の音きくと休まるんだ。なんでかね、安心するの。」
そうして星空の下、砂浜にシートを敷いて横になる二人。
ギリギリ二人が寝そべることのできる絶妙な大きさのシートで、ガンタは右手でイサキの頭を抱え、自分の胸に彼女を寄せます。
ああ——...さっきまであんなに眠りたかったのに。今は、寝るのが惜しい。
ずっと眠れず苦しんでいたガンタでしたが、今は起きていたいと思えるほど幸せな気持ちのまま、眠りにつきます。
まさか添い寝で、ここまでの多幸感を味わうことは思いもしませんでした。オジロマコト恐るべしという感じで、作者の名前買いをして正解な作品でした。
フィクションで日常の渇きを潤している方は必読の良書です。
マカロニえんぴつとのコラボも!
『君は放課後インソムニア』はマカロニえんぴつの「遠心」とコラボレーションをし、MMV(マンガミュージックビデオ)がYouTubeで公開されています。
「遠心」は『君は放課後インソムニア』をイメージして作られた楽曲で、「私が月に行ったら、そこから手ぇ振るよ。」というイサキのセリフからインプレッションを受け、「全ての眠れぬ夜たちに、贈る歌」として書き下ろされました。
マンガのお供にぜひ、YouTubeで聞いてみてはいかがでしょうか。
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