冲方丁（うぶかたとう）先生原作のショートストーリー『もらい泣き』を、馬瀬あずさ先生作画でマンガ化したのが『地球生まれのあなたへ』です。実話をもとにした運命のようなできごとを描いたショートストーリー6篇に、あとがきと2篇のおまけマンガが加わった珠玉の一冊です。
死のうと思ってた男性の話、ギクシャクしてしまった親子の話、永遠の別れの前に最期に言ってしまったことへの後悔など。映画『攻殻機動隊 新劇場版』の脚本も務めた冲方先生のストーリーで、いろんな人の人生が紡がれていきます。
物語を読んでいると自分にもかぶる部分があって、登場人物にもがんばって欲しいし、自分ももうちょっとがんばりたい気持ちになります！
最愛の人から届く手紙
表題作の『地球生まれのあなたへ』は、2011年3月19日という震災直後の宮城県を舞台にした愛し合うカップルのお話です。郵便屋のマキオはガレキの中に残された人々に手紙を届けてまわっていました。
マキオには大切な人がいて、彼女には南半球で天文学を究めるという夢がありました。
愛する人を幸せにできていたのかと悩むマキオに届く一通の手紙。星の降り注ぐ愛みたいな物語で、胸がギュウウっとなります。
天才の伝説は始まるのか？
もう一つご紹介したいお話は「音楽と十円ハゲ」。若い頃にレコード会社からCDデビューして調子に乗ったものの、まったく売れないまま11年が経ってしまったバンドマンの物語です。
自分は天才だ、神曲ができた！と騒ぎながらも誰からも見てもらえない日々。
努力はしてるのに時間だけは過ぎ去って、バンドメンバーも彼女も去って。楽器を壊すほどボロボロになりながらも、それでもがんばりつづけた男の子のお話です。
努力のすべてが報われるわけじゃないけど、彼の努力が報われて欲しい！って思ってしまいます。夢を追い続けるすべての人に読んで欲しいお話です！
「髪の毛」と「黒」の美しさ
『まいりました、先輩』を描かれている馬瀬あずさ先生の絵の魅力がぎっしり詰まっているのが本書。特に注目して欲しいポイントは「髪の毛」と「黒」です。
馬瀬先生の描く髪の毛の流れが本当に美しくて。髪の毛に動きがあると風が流れているような、その場の空気感が伝わるんですよね。
もう一つは「黒」。髪の毛や服が真っ黒のコマがいくつかあるんですが、画面にメリハリが出てとても引き込まれます！
マキオが黒い制服で立っているシーンがとてもカッコいいです！
髪の毛の美しさと黒が使われてるコマにもぜひ、注目して読んでみてください！
🌏地球生まれのあなたに読んで欲しい🌏
あとがきの物語にもウルウルきちゃう！
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