変と乱

しおやてるこ / 著

『変と乱』友人関係のもつれは凄惨な愛憎劇のはじまり

しおやてるこ先生の最新作『変と乱』が電子版、紙書籍版ともに発売開始されました。女子高生たちの、生々しく常軌を逸した愛憎劇を描いた1巻完結のマンガです。

本レビューでは、核心部分に触れない形でその魅力をお伝えしようと思います。ネタバレは誰だって困りますよね!また本作にはセンシティブな内容(暴力・血など)が含まれます。苦手な方はご注意ください。

学校という箱庭でおきる凄惨な愛憎劇

高校3年生の冬。志望していた大学の推薦に受かった主人公の北原涼子。その友人である山口莉子は推薦に落ちてしまいます。一方、山口莉子の幼馴染である鈴木絵美は推薦に受かります。冒頭から不穏な3人の関係性が絡みあい、変化していくことがこの作品の見どころです。

山口莉子は、鈴木絵美を地味子と呼び、「推薦受かってよかったねぇ」「死ねっ」「うっそ~ん」と冗談めかしながらも、きつく毒づきます。他方、親友と呼ぶ北原涼子に対しては、合格を祝いながらも、「涼子の薄情さが凄いよね~?」「涼子は友情より成績の方が大事だもんね……」と皮肉をそえます。

そんないびつな友人関係は、北原涼子が山口莉子に対して「私 もう莉子の事、ムリだわ」と絶縁宣言をすることで終わりをつげます。そしてこれを発端として、思いもよらぬ凄惨な愛憎劇がはじまっていくのです。

ジェットコースターのように揺さぶられる感情

主人公を含む3人の登場人物は、こちらの想像をかるく凌駕するほどクセのある性格をしています。その結果、物語はこちらが予想していた方向にまったく進んでくれません。

読み手の感情はジェットコースターのように揺さぶられ、次の展開に構えることもできないまま、終幕まで一気に連れていかれます。そして強い緊張から解放されることで、大いなる安堵を感じることができるのです。

このカタルシスこそが『変と乱』の最大の魅力と言っていいでしょう。

しおやてるこ先生自身の作品評も見どころのひとつ

今作はかなり過激な愛憎劇です。暴力や血などの描写も含まれ、これまでのしおやてるこ先生の作品とはおおきく方向性が違います。そのせいもあってか、先生がツイッターで書いている作品評がかなりふりきっています。

「ドロドロ殺伐☆スクールライフ」!とんでもないキラーワードに思わず目を奪われませんか!?

先生のツイッターは大半が黒猫に関するツイートです。そのため、そこに差しこまれる数少ない『変と乱』関連のツイートは、内容の過激さもあって逆に見ごたえのあるものになっています。先生のツイッターもぜひ一度チェックしてみてください。

👉しおやてるこ先生のツイッターはこちら

紙の単行本の発売は2021年6月16日

電子版が先駆けて配信開始され、紙の単行本は2021年6月16日に発売されました。

この1冊で完結しているので手にとりやすいですし、暴力や血などセンシティブな内容に抵抗のない方には、ぜひこのドロドロ殺伐☆スクールライフを堪能してください!

👉第1話の試し読みはこちら

ドロドロ殺伐☆スクールライフ

変と乱 (ヤングキングコミックス)
しおやてるこ/著