夢中さ、きみに。

和山やま/著

独特なキャラの空気が癖になる『夢中さ、きみに。』。 あの頃、なんだか変わった君は居た

古屋兎丸先生も絶賛!

「このマンガがすごい! オンナ編」第2位の和山やま先生の『夢中さ、きみに。』は、映画化され話題となった『帝一の國』や『ライチ☆光クラブ』の著者・古屋兎丸先生が単行本の帯コメントにてファンであることを明言した程のハイセンスな画力とストーリーだ。

耽美な画風の為か、一見BLマンガと捉えそうになるが合間に挟まるギャグのバランスが絶妙でそういった印象が中和されて読みやすい。

独特なキャラ「林」と「二階堂」にまつわる短編集

基本読み切り作品となっているが、全体的には前半が「林」、後半は「二階堂」という男子高校生と彼ら周辺の人間関係をメインとした構成となっている。

夢中さ、きみに。
和山やま/著


夢中さ、きみに。 (ビームコミックス)
和山やま/著

林について

「林」と同じクラスの同級生、SNSで交流を持って偶然リアルで出会った女子高生、絵のモデルを依頼する中等部の下級生、パシリに遣われていることろを助けてもらった後輩の視点で描かれるオムニバス形式だ。

どの登場人物の視点で見ても林は掴みどころが無い独特の空気を放つ。

中学時代のあだ名が「仮釈放」だったり、パンダの着ぐるみを着たまま同級生の家まで歩いて行き職質されたりしている。

そんな彼を一言で表すと「シュールなゆるキャラ」といったところだろうか。

それが不快感を与えるどころか癒しになっていることが全編を通じて伝わり、読んでいる間自然と笑みが零れてくる。

二階堂について

同級生の目高に伊藤潤二の漫画に出てたよね?」と冗談で言われる程の目の隈の深さと陰鬱さ漂わせる二階堂。

その暗さ故に「二階堂に関わると不幸になる」というジンクスが伝わり皆に恐れられていた。

ある日、中学時代の二階堂を知る小学生の同級生と遭遇し、目高は二階堂が超美男子でモテていた過去とそれが原因のトラブルで暗くなったこと、本当は笑うと可愛いことを知り興味を抱き、二階堂自身も心を開いていく。

二階堂本人の視点でのエピソードや、二人の修学旅行編も見応えがある。

どこか懐かしさが漂う作品

本作を読んでいると、高校時代の緩く脱力した空気を思い出す。

名前も苗字しか覚えていない、たいして会話もしていないし連絡先も知らない同級生達の顔も。

今はどうしてるんだろうか、そんなノスタルジーにも浸からせてくれる一冊である。

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