妖狐×僕SS

藤原ここあ

『妖狐×僕SS』から学ぶ悪癖との向き合い方

例えばあなたの悪癖が直るとしたらそれは手放しで喜べますか?

私達は、なかなか切り離すことの出来ない自分自身の持つ悪い癖と共に生きています。藤原ここあ先生が描く『妖狐×僕SS』は自分の悪癖に向き会う勇気を与えてくれるマンガです。

主従マンションラブコメディー

名家の令嬢である主人公の白鬼院凜々蝶(しらきいんりりちよ)は高校から実家を出て、最高級マンションのメゾン・ド・章樫(あやかし)通称、妖館(あやかしかん)に入居します。

妖館は一世帯につき一人のSS(シークレットサービス)が付く最強のセキュリティーを誇り、凜々蝶の担当になったSSの御狐神双熾(みけつかみそうし)に出会い、物語が始まります。

一癖も二癖もある妖館の住人

この世界には先祖に妖怪の血が混じる一族がいます。その中でも、妖怪の血を特に濃く受け継ぎ、妖怪に変化することが出来る人達のことを先祖返りといいます。

妖館の実態は先祖返り達が集う秘密のマンションでした。個性的なキャラクターとのマンション生活の裏側には、妖怪に変化出来る能力により、同じ人間なのに人から妬まれ、恐れられる葛藤や悩みも描かれています。

物語が進む中で各キャラクターが癖を持つ本当の理由を知る事で感情移入していきます。気づいた時には、一癖も二癖もあることが魅力に変わり推しキャラとマンション生活を送りたくなります!

自分の悪癖に向き合う尊さ

凜々蝶が妖館に来た本当の理由、それは自分の悪癖と向き合うためでした。学校では名家の令嬢という理由でいじめられ、先祖返りのために家族からは愛されず、そんな自分を守るために、人に対して無駄に虚勢をはって悪態をつくようになりました。

それが彼女の悪癖であり、そんな自分が嫌いでした。だからこそ変わりたいと願い、妖館の住人との生活を通して自分の悪癖と向き合います。そして悪癖があったからこそ、他人に優しく出来る凜々蝶の成長した姿に妖館の住人も、読者も心を打たれます。

自分を変えようとする意思にこそ価値がある

自分と向き合う事。それは、悪癖とも呼ばれる自分の嫌いな部分を見つめる事かもしれません。だからこそ、悪癖に悩んでしまうあなたに出逢って欲しい。

自分の嫌いな部分と向き合う「妖館」の住人に、自分と向き合う勇気を与えてくれるこの作品に。

あなたの癖は何ですか?

妖狐×僕SS (全11巻) Kindle版

本記事は、2021年度4月にアルのライターとして加入した新人の皆様の最初の記事をGWに一挙公開する「Golden Rookie Week企画」の一本として掲載されています。ニューカマー達の活躍を今後も見守ってあげて下さい!