海が走るエンドロール

たらちねジョン/著

『海が走るエンドロール』思い立った瞬間が人生で一番若い!読み手の創作意欲を刺激される映画クリエイターマンガ!

たらちねジョン先生の最新作『海が走るエンドロール』の第1巻が2021年8月16日に発売されました。映画を作りたい、ある日突然そんな衝動にかられた主人公は65歳。見ている人の創作意欲をこれでもかと刺激するクリエイターマンガです!

65歳の主人公は映画を作るため船を出す

主人公、茅野 うみ子(ちの うみこ)は65歳。夫が亡くなってからまだ49日しかっていません。その日、彼女はひょんなことから映画館に赴きます。昔は夫と映画にも行きましたし、名画を厳選してコレクションするくらいには映画が好きです。でも思い出してみると、もう20年くらいは映画館に行っていませんでした。

映画館で彼女は、美大の映像専攻にいるという男の子、(カイ)と出会います。彼は映画を観ている観客に熱い視線をおくる彼女に気がついていました。そして彼女にこう告げるのです。

「うみ子さんさぁ こっち側(映画作りたい側)なんじゃないの?」 「そんな人間はさ 今からだって死ぬ気で映画作ったほうがいいよ」

その言葉をきっかけに、彼女は自分のなかに秘められていた映画を作りたいという大きな波のような欲求に気がついてしまいます。そして悩みながらも、映画を作るために実際に行動しはじめるのです。

思い立った瞬間が、人生で一番若いとき

本作の主人公は65歳です。それにもかかわらず、これまでに一度もやったことのない映画作りを夢見て美大にまで入ります。みなさんにもなにかを始めようと思ったとき、「もう若くないから」と思ってあきらめた経験があるのではないでしょうか。

しかし本作を読めば伝わるはずです。65歳でもなにかを始めるのに決して遅くはないということが。なにかをやりたいと思ったとき、その瞬間が人生で一番若いとき。そんな言葉もあるように、年齢なんて行動しないことの理由にならないのです。

またときには後ろ向きになってしまい、ネガティブで、自分を卑下した発言をしてしまうことは年齢や状況に関係なく誰にとっても経験があるでしょう。その発言が意図せず誰かを傷つけてしまうこともあります。『海が走るエンドロール』では、そんな避けられない葛藤との向きあい方を提示してくれます。そこから人生の教訓を得ることができるのです。

なにかを創作する人であるかどうかには関係がありません。主人公が年齢というハードルを乗りこえ、悩みながらも歩んでいく道を見つめることで、自らのなかにある隠れた衝動に素直になることができるのではないでしょうか。

試し読みはこちらから。

ひそかに差しこまれる映画愛

『海を走るエンドロール』は映画を作ろうと志すクリエイターを描いたマンガです。作中では映画に対する愛が語られ、そしてもちろんたらちねジョン先生も映画を愛しているのでしょう。そんな映画に対する愛はトビラ絵にもあらわれています。

例えば上のツイートにある第2話のトビラ絵で描かれているのはうみ子ですが、ふたりともワンピースを着ています。こちらは映画にくわしい人ならすぐにピンとくるのではないでしょうか。映画『シャイニング』に出てくる双子のオマージュになっています。

(双子が映るのは0:38のところです)

そしてこちらのツイート。第5話のトビラ絵に描かれているのはボートに乗る大きなトラとうみ子です。

狭いボートのなかで、ごく近くまでトラに迫られて逃げる場所もありません。こちらは映画『ライフ・オブ・パイ/トラと漂流した227日』のオマージュではないでしょうか。

これらの他にも映画のオマージュが隠されているかもしれません。また作中には実際に存在する映画が沢山出てきます。先生の遊び心にふれながら、出てくる映画を観るのも本作の楽しみかたのひとつではないでしょうか。

『海が走るエンドロール』第1巻の続きは「ミステリーボニータ」にて!

まだまだうみ子の物語は始まったばかり! 『海が走るエンドロール』第1巻の続きは「ミステリーボニータ」にて読むことができます! 年齢なんて関係ない。うみ子と海の挑戦を見逃さないでください!

思い立った時が始まりの時

海が走るエンドロール 1 (ボニータ・コミックス)
たらちねジョン/著