焼いてるふたり

ハナツカシオリ / 著

『焼いてるふたり』新婚庭付き一軒家 お肉を育てる君と時間をかけて夫婦になる

焼いてるふたり』は、新米夫婦の新婚生活を楽しむ作品です。モーニングで連載中の本作は、ハナツカシオリ先生により執筆されています。

マッチングアプリで出会った健太千尋は、遠距離結婚を実現した夫婦です。結婚して、庭付きの一軒家に住んで、週末にバーベキューをして夫婦の仲を深める。現実を忘れさせてくれる、2人のスローライフ。穏やかな将来に思いを馳せるアナタに届くこと、間違いなしの1冊です!

会えないなら、結婚しよう

健太と千尋は、交際期間ゼロ日で結婚した夫婦です。

そのきっかけは転勤によるものでした。チームに欠員が出たという理由で、東京から浜松へ転勤の辞令が下った健太。千尋と運命の出会いを果たし、春が来た!なんて多幸感に満たされたのも束の間で、やるせない思いが紙面を伝って、読者から体温を奪っていきます。

そんな折、千尋が健太を突然訪ねてきました。実は、転勤の辞令のショックでしばらく千尋への連絡を絶っていたのです。楽しくデートしていた相手が音信不通となれば、誰でも心配します。再会した2人。ありのままの事実を告げる健太。今日でこの関係もおしまい。困ったように笑う健太の笑顔から、思わず目を背けてしまいたくなる。わかりました、そう告げる千尋の言葉は続きます。

私たち 結婚しませんか?

引用元:『焼いてるふたり』第1巻P.24

交際期間ゼロ日での提案でした。運命かもしれない、と思っていたのは健太だけではなかったのです。このままお別れしてしまえば、きっと後悔する。そう考えたのでしょうか。ぽつぽつと気持ちを語る千尋の言葉を聞いているうちに、読者の冷えた指先も体温を取り戻していくことでしょう。

いつ焼きますか?に秘められた心地よさ

晴れて結婚した健太と千尋は、浜松と東京の遠距離結婚という形に落ち着きました。

しかし心の距離は決して離れておらず、とても心地よい距離感なのです。週末になったら千尋が健太の元を訪れる。浜松にある、庭付きの一軒家に。2人で暮らすには十分すぎる広さのその家の庭で、バーベキューをする。幸せな夫婦関係そのものと言えるのではないでしょうか。

2人の関係性が最も現れているのが「次 いつ焼きますか?」という文言です。

デートの約束をする際に、アプリで送ったメッセージとして登場しました。いつご飯を食べに行きますか、でもなく、どこに遊びに行きますか、でもない。いつ焼きますか。余計な探り合いは必要なく、私たちが会うなら当然焼くに違いない、という絶対的な信頼を感じる文言です。

あ、気づきましたか。そう、2人はデートの段階では付き合ってすらいませんでしたよね。それなのにこの絶妙な関係性が築けるということは、本当に運命の出会いだったのでしょう。あまりの相性の良さ。頬が緩まずにはいられないのです。

君との時間はこんなに愛おしい

新婚の夫婦が週末にバーベキューを楽しむ。それがとても心地よい。

それはきっと、健太は私たちに近い考えを持っている、から。キャンプの経験が豊富なわけではない彼。でも、炭火で焼いたお肉はおいしい気がするし、外で飲むビールは格別に感じる。ささやかな幸せですが、安心します。私たちに近い感性があるために、読んでいて置いてけぼりにされません。

隣には、千尋がいます。妻であり、健太の良き理解者です。素の自分を上手くさらけ出せない彼女だからこそ、健太と真剣に向き合えます。苦手だったバーベキューさえ、一緒に楽しめるようになりました。千尋が一緒だったからこそ、健太の幸せも、読者が感じる心地よさも、何倍にも膨れ上がるのです。

外で食べるとこんなにおいしい。

君との時間はこんなに愛おしい。

ああ、週末が楽しみだ!

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次は君と、何を焼こうかな!

焼いてるふたり(1) (モーニングコミックス)
ハナツカシオリ/著