19巻で完結した、天才ハッカーとエンジェル投資家がサイバー空間で「世界征服」を狙うというマンガ『王様達のヴァイキング』。
専門の職業を題材にした作品は、プロからみると、細かいところに目がいきがちでツッコまれたりしがちなのですが、この作品は、ベンチャー業界でも、エンジニア業界からも人気が高くあります。
個人的にその理由の一つとして、この作品には、いくつかモデルがいて、キャラクターや設定などに強く影響を与えている、ということが挙げられると思っています。そのため、嘘くさくなく、リアリティを感じるのです。
たとえば、本作にはエンジェル投資家の坂井という人物が中心に出てきますが、これは、現在ヤフーの常務である、小澤隆生さんがモデルになっています。
※筆者も前にやっていたベンチャーで、小澤さんから投資を受けた経験があるので、それなりによく知っています。
このように、取材や協力を得て、リアルなエピソードを使っているから、作品の魅力が高いのかもしれません。
というわけで、知っておくとより王様達のヴァイキングが楽しくなる元ネタを紹介します。
坂井のモデルの小澤さん
坂井のモデルの、小澤さんは、99年に創業したサービスを2001年に楽天に売却し、その後オークション担当役員をし、楽天球団の立ち上げをしました。要は起業家→買収されて急成長中の楽天の役員、という経歴の持ち主。
2006年からスタートアップへの投資などをし、2011年にクロコスを設立、翌年にヤフーに買収されました。楽天とヤフーに買収されて、両方で役員になった人は、たぶん小澤さんだけなはずです。
現在では、Yahoo!JAPANで常務につきながらeコマース革命を牽引し、またZホールディングスの取締役、アスクルの取締役、一休の会長、PayPayやアスクル、バリューコマース、ユーザーローカルの取締役をやっています(すごい)。
エンジェル投資家としても有名で、以下のように発言している通り、精度が高いと評判です。
キャラクターの激しさ、極端さなどは、小澤さんに通じるところもあります。
担当編集のヤマウチさんも
『王様達のヴァイキング』の坂井のキャラが息づいたのは、小澤隆生さん(けんすうさんのエンジェル投資家)と出会えたから。IT業界には漫画好きな熱い方が多いです!
漫画コミュニティサービス『アル』が盛り上がって、漫画が新しいサービスのハブになったら面白いなとか色々妄想したりもするのです。 https://t.co/PSwAhXvdiM— ヤマウチナオコ (@Na0oCo) January 26, 2019
と述べていました。
参考になっているエピソード
キャラクターの他にも、IT業界では有名な場所も出ています。
たとえば、小澤さんの自宅には、地下室があり、投資先のベンチャーに貸し出してたりしていたりするのですが、王様達のヴァイキングでは、たとえば以下のシーンがあったりします。
坂井さんの自宅にオフィスがあるという設定ですが、小澤さんの自宅にも、ほぼこんな感じの地下室があるのです。
また、ここで出てくる「ヘッジホック」は、クロコスというベンチャーが題材になっており、クロコスはYahoo!JAPANに買収され、創業メンバーだった柄沢さんはその後、メルカリのCTOになったりしました。作中だと、唐沢という名前ですね。創業エピソードは以下で読めたりします。
僕と nequal と Crocos - 肉とビールとパンケーキ by @sotarok
また、awabarという、六本木にあるBarも出てきます。ここも、IT経営者がよく集まる立ち飲み屋として有名です。
起業家を輩出するawabarとDMM.make、仕掛け人が語るメンタリングの秘訣
また、実際の事件もモチーフに使われています。
仮想通貨取引所のABWコインがサイバー攻撃を受けるというもので、何度か起きている、仮想通貨のサイバー攻撃の事件を彷彿させます。作中では、箕田(みだ)社長という名前で登場しています。
このあたりも、感情移入しながら読んでた読者の人も多いかもしれません。
IT / ベンチャーの人は一読の価値あり!
というわけで、IT系やエンジニアの人、ベンチャー系の人には特におすすめの王様達のヴァイキングですが、もちろん、マンガとしても非常に魅力的です。
マンガでわかる王様達のヴァイキングもあるので、興味ある方はぜひとも読んでみてください!