いわれのない誹謗中傷や差別的行為、先行きの見えない不安ーー。気付いたら心が消耗し疲弊してしまう現代社会を生きる私たちにとって今何が一番必要なのでしょうか?
それは、私たちが生きる今の社会を彷彿とさせるような世界が舞台となった『病める惑星より愛をこめて』に答えがあるのかもしれません。
心の病を癒す不思議な生命体"もふもふ"
人類の約半数が心の病にかかるようになって数百年。歯止めのかからない自殺率に頭を悩ませた各国は、心の病に対して治癒効果を発揮すると言われている惑星外生命体「特殊臨床慰謝体(とくしゅりんしょういしゃたい)」の力を借りて、命を絶とうとする人々を思い止まらせていました。
その見た目から別名"モフモフ"とも呼ばれる特殊臨床慰謝体ですが、人間を励ますわけでも生活をサポートするわけでもなく、ただ側で寄り添うだけの存在として描かれています。
モフモフと接することで心を病んだ者は癒され平穏を取り戻しますが、その代わりにモフモフに癒されている間は語彙力が低下してしまうという欠点があります。
また、モフモフを連れて歩いていることで心の病であることが周りに知れ渡り、それと同時に心の弱い人間だという偏見を持たれることもあります。
『病める惑星より愛をこめて』では、そんな謎多き不思議な生き物と生きる人々の人間ドラマを描きます。
ニュートラルな精神状態をもたらす存在
過去のトラウマに囚われ続けたままの男性、自殺現場に遭遇してしまった少女...。本作には様々な理由で心を痛めた人々が登場します。モフモフを必要としなくなるまで彼ら彼女たちの治療は続くのですが、目指すのは完治ではなく寛解。症状が治まって心が穏やかになる状態を目指すのです。
寛解のサポートを担う存在として描かれているモフモフですが、この生き物は「癒し」以外に何をもたらしているのでしょうか?
それは、ニュートラルな精神状態なのではないでしょうか。モフモフと過ごすことで大きな喜びはないけれど、怒りも悲しみもなく、とにかくまっさらな状態になれる...。1話では、過去のトラウマによって心を痛めた八雲がモフモフと生活することで徐々に食への興味を取り戻し、過去や自分の感情と向き合っていく様子が描かれています。
本作を読んでいると、心を痛めた時こそニュートラルな精神状態を保ち、当たり前の日常生活を営むための土台を心に築くことが重要なのだと強く感じさせられます。
SF的展開を思わせる描写に注目
心を痛めた人々とモフモフが織りなす少し不思議な人間ドラマ『病める惑星より愛をこめて』。モフモフとの交流と心の再生が本作の見どころかと思いきや、物語の冒頭とラストには壮大なSF的展開を思わせる描写が描かれています。
そして、短編集かと思うほど完成されたストーリー展開を見せる本作ですが、表紙には1巻を表す「1」の文字が...。モフモフの正体や共に過ごす人々の今後が気になり、早くも2巻を待ち望んでやまない『病める惑星より愛をこめて』。ぜひ手に取ってみてください。
Twitterに画像をアップする際はぜひ「Twitter一括アップくん」を!
本田先生は『病める惑星より愛をこめて』の1話をTwitterにアップする際、アルが提供する機能「Twitter一括アップくん」を利用していただいています。
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