農林水産省によると、平成28年度の農作物被害額は全国で約172億円。
深刻な鳥獣被害への対策や、田舎で罠猟をする女子高生の日常を描いた『罠ガール』は農業界で話題沸騰となりました。
作者の緑山のぶひろ先生は農家であり、自身が罠猟免許を持つ兼業農家でもあります。
網は食いちぎられ電柵はくぐられ、さてどうしたものか pic.twitter.com/1DgdmL5INR— siho@罠ガール4巻発売中 (@siho0203) November 23, 2018
現役の罠猟師さんによる体験談が詰まった本作は、実際の罠猟だけでなく、資格試験や動物の解体作業、道具の細かい解説など、一般人には十分すぎるほどの濃度で知識を吸収することができます。
そんな罠猟に関するイロハを少しだけご紹介。都会に住んでいて農業をやっていないあなたも、いつか役に立つ時が来るかも——。
まずは自衛から
敵陣に乗り込んで捕獲しまくれ!ではなく、防御を固めるのが罠猟の鉄則。
電気柵で心理的障壁を
ただの網では破られたり、突破されてしまいます。
そんな時は電気柵。痛めつけて気絶させるほどの電流ではなく、ここは危険な場所だという刺激を与えて、動物に諦めさせることが目的です。
ちなみに動物たちはは柵を飛び越えるのではなく、下からくぐって侵入しようとするため、地面まできっちりと柵をつけることが大切!
罠は人里離れた獣道に仕掛ける
昼夜問わず活動をするシカとの戦い。
罠を仕掛ける場所は被害現場につながっている獣道で、人通りのない場所が望ましいです。
鳥獣供養
自衛のためとはいえ、致し方なく駆除してしまった動物への供養を猟友会が主催。お坊さんを呼んで、人間のお葬式のように執り行います。
罠ガールvsカラス
他の鳥獣よりもスマートなカラス。よくある目玉風船やCD、カカシなどを置いても、効果はいまひとつのようです。
作者曰く、透明・灰色・黒のテグスを畑の上に張り巡らせると、見えない糸にカラスたちは困惑するため効果的とのこと。
他にも本物のカラスの死骸を吊るして、危険な場所だと知らしめる方法も。ただし見た目がエグいのと匂いもすごいので、主人公の千代丸はこのやり方には難色を示しました。
山でイノシシに遭遇したら
山で恐れるものといえばクマですが、イノシシも遭遇したらかなり危ない動物です。もしも出会ってしまった場合には、決して背中を見せず、ゆっくりと後ずさりしましょう。
害にならない動物はキャッチ&リリース
目的と異なる動物が捕獲されてしまったら、速やかに逃すのがルール。
対策難易度が跳ね上がるサル
シカ対策の防御を軽々と突破するサル。他の鳥獣対策では追いつかないこともしばしばです。
ちなみに、サルにはイヌによる威嚇が効果的。犬猿の仲と言われるほどサルは逃げていきます。
お米を守れ!
種まき期・田植え期・収穫期に渡って、多種多様な鳥獣がやってくる大人気のお米。田植えから稲刈りまでの約5ヶ月間は、外敵との戦いの期間でもあります。
動物の気持ちになって罠を仕掛ける
動物たちを退ける時は、何をされたら嫌がるか?彼らを捕獲する時は、何が好きでおびき寄せるか?気持ちよく罠に誘導するためには何が障壁になっているのか?
これらを常に考え、戦略的に仕掛けていく必要があります。
そのためには、動物の習性だけでなく、臨機応変にそれぞれの個性に対応することも重要。生物相手なので罠猟はかなり奥が深いです。
『罠ガール』はこんな人にオススメ
本作は手強い動物たちとの戦略的なバトル作品で、女子高生や農家の人たちが奮闘する罠猟マンガです。
動物が好き
農業や狩猟に関心がある
カワイイ女の子に関心がある
上記に一つでも当てはまれば、『罠ガール』を楽しむことができます。
生きるために必死な動物と、手塩にかけて育てた作物を守る人間。
農家の人たちによる一方的な防衛戦にはなってしまいますが、田舎の穏やかな雰囲気とは裏腹に、かなり熱い戦いが繰り広げられています。気になった方は手に取ってみてください!