『花と奥たん』は、『最終兵器彼女』や『いいひと。』などを手掛け、現在メロディで『髪を切りに来ました。』を連載している高橋しん先生の作品です。
カラーページも多数収められており、その鮮やかなイラストに心を奪われるはず…!
謎の災害により東京に咲いた「花」。その影響で世界は今日にでも滅びてしまうかもしれない。しかし、そんな状況でも奥たんは帰ってくる旦那たんのため、今日も変わらずゴハンを作るのです!
奥たんの日常
東京都近郊のうるわしが丘の一戸建てに、旦那たんとミニうさぎのPたんと暮らしている奥たん。
新婚ほやほやな彼女は帰ってくる旦那たんにおいしいゴハンを食べさせるため、今日もはりきって買い物に出掛けます。
しかし、何やら外の様子が変なんです。
怪しいバザールが開かれた路上、不穏な内容の井戸端会議、売り物がほとんどないスーパー…etc.
そして何よりおかしいのが、東京に咲き誇る巨大な「花」。
実は、この世界は謎の災害により、今日滅びるかもしれないほどの危機に陥っていたのです…。
『花と奥たん』では、そんな世界で生きる奥たんの日常がおとぎ話風に描かれています。
今日滅ぶかもしれないけど、世界は美しい
奥たんはゴハンを作るため日々食材を調達しに出掛けますが、今日にでも滅びそうなこの世界では思うようにいきません。
しかし、帰ってくる旦那たんにおいしいご飯を食べさせたいという一心で彼女は頑張ります!
怪しいバザールへ出掛けたり、荒れ果てたバス・電車で遠出したり、闇業者に着いていったり…etc.
怪しいものに対して無防備すぎる奥たんにハラハラさせられますが、雰囲気とは裏腹に出会う人はみんな優しくて、そこで行われるほっこりするやり取りがたまらないんです。
また、ふとしたときに描かれるこの世界の景色には迫力があり、思わず引き込まれます!
そんな苦労をして手に入れた食材で作った料理は決して特別なものではありませんが、どれも温かくておいしそう。
そして、その料理を本当においしそうに食べる奥たんの表情は見ていてドキッとしてしまうんです…。
奥たんは待ち続ける。いつまでも、いつまでも…
災害発生時、旦那たんは「花」の咲いた東京で仕事をしており、1年経っても音信不通のまま。
いつ帰るかも、本当に帰ってくるのかも分からない中、奥たんは旦那たんのために毎日晩ゴハンを作って待ち続けます。
そして、翌朝、手がつけられなかった旦那たんの晩ゴハンを朝食として食べるのです…。
そんな毎日を繰り返す彼女の寂しさを想うと、胸が痛くなります。
また、世界は「花」のせいで生態系や気候がおかしくなっており、特にその影響を受けるうるわしが丘はどんどん人が住むには辛い場所に…。
その環境に耐えきれず、徐々に人が離れていく中、彼女はその場所で旦那たんを待ち続けます。それは、帰ってくることを信じているからなのか、もう会えないことを受け入れられないからなのか、はたまた別の理由があるからなのか…。その辺りの気持ちがどう描かれるのかが気になるところです。
はたして、そんな奥たんが旦那たんと再開する日はやってくるのか?ぜひご覧ください!