薬屋のひとりごと

日向夏(ヒーロー文庫/主婦の友インフォス) / 原作 ねこクラゲ / 作画 七緒一綺 / 構成 しのとうこ / キャラクター原案

「小説家になろう」発! ヒーロー文庫の大人気タイトル『薬屋のひとりごと』が、待望のコミカライズ! 中世の宮中で下働きをする少女・猫猫(マオマオ)。花街で薬師をやっていた彼女が、帝の御子たちが皆短命であるという噂を聞いてしまったところから、物語は動き始める。持ち前の好奇心と知識欲に突き動かされ、興味本位でその原因を調べ始める猫猫の運命は――…!?※「小説家になろう」は株式会社ヒナプロジェクトの登録商標です。

1分でわかる『薬屋のひとりごと』

  • ひょんなことから女の園で働くことになった薬屋の猫猫

  • ただの雑用係だったはずが、薬屋の知識で難事件を次々解決

  • 薬に対する溢れんばかりの好奇心が彼女の運命を大きく変えることに…!?

作品概要

『薬屋のひとりごと』は「小説家になろう」にて執筆されたのち、シリーズ累計600万部突破の大人気小説が原作となったミステリーマンガです。

舞台はとある中世の東洋。女の園と称される後宮にて雑用係として働く少女・猫猫が、次々に引き起こされる不審な出来事に薬屋の知識を持って立ち向かいます。読者に心地よい読後感を与える数々のミステリーに、現実に即した謎解きの知識。マンガ好きの好奇心をこれまでにないほど刺激した魅惑の1冊です。

あらすじ

後宮で働く下女・猫猫。薬屋を生業とする彼女は、薬草採取のために訪れた森で不運にも人さらいに誘拐されてしまいました。誘拐犯の食い扶持にされるために彼女が行き着いたのは後宮。女の園です。薬屋の彼女には縁遠い場所であり、あまり関わりたくない場所でした。

おとなしく任期が過ぎるのを待てば解放される、そう考えていた猫猫。あまりに達観しているように思われた彼女ですが、どうやら強い好奇心には逆らえなかった模様です。

ちょうど当時宮内で噂されていたお世継ぎの連続死事件に首を突っ込んでしまい、あまつさえ解決に導いてしまいました。この出来事をきっかけに上級妃・玉葉妃から呼び出しを受け、彼女の口から朗らかに物語の幕開けが告げられます。

今日から 私の侍女になってもらいます

引用元:『薬屋のひとりごと』第1巻P.48より

作品の魅力

『薬屋のひとりごと』の最大の魅力は、心地よい読後感をもたらす謎解きです。謎解きは決して複雑すぎず、現実の法則と照らし合わせて理解できる解像度の高い構成であるため、読者の心にスッと入り込みます。

例えとして1つご紹介すると、先ほども挙げたお世継ぎの連続死事件が、その最たる例です。

物語が幕を開けてまもなく、猫猫はお世継ぎの連続死事件の噂を聞きつけました。友人の小蘭が語るには、これまでに世継ぎとなる子供は3人生まれたものの、皆乳幼児の頃に亡くなっているとのこと。さらに詳しく話を聞くと、猫猫は事件を解決に導く1つの仮説に行き当たります。

しかし仮説は仮説。一度自分の目で確かめるべきだ、と考えた猫猫は上級妃の宮へ向かいます。その途中で見かけた玉葉妃と梨花妃を見て確信しました。

やはりこれは 呪いでもなんでもない

引用元:『薬屋のひとりごと』第1巻P.23より

そして連続死の原因を見事に突き止めた猫猫。原因は、白粉(おしろい)でした。

白粉と言えば子供の頃、通学路の途中に生えていたオシロイバナの種を割って中の白い粉で遊んでいた記憶がある方も多いのではないでしょうか。あの粉を材料の1つとして作る化粧品です。

私たちが生きる歴史上でも、白粉を使った母親の胎児が死亡する事故に見舞われたケースもあるほど、危険な存在として知られています。現在は安全な白粉もあるものの、猫猫たちの世界では未だ毒のままだったのです。

種を明かせば私たちは理解できるものの、作中の世界でこの知識を知り得る者は少なく、猫猫の知識はさながら魔法のように感じられたのではないでしょうか。このように謎を解き明かした後の読後感の良さが、読者に評価される本作の魅力なのです。

登場人物

猫猫(マオマオ)

本作の主人公となる少女。花街で薬屋を営んでいましたが、人さらいに遭ったために後宮で働くことになりました。宮中で噂になっていたお世継ぎの連続死事件を秘密裏に解決したことがが発覚し、上級妃・玉葉妃の侍女になります。以降、侍女という立場であるものの、実質的に壬氏の都合の良い駒として東奔西走させられることに。毒に対しての好奇心が旺盛で、お人好しな女の子です。

壬氏(ジンシ)

後宮を管理する宦官。お世継ぎ連続死事件の解決が猫猫によるものだといち早く気づいた人物です。猫猫に「なんだあの偉そうな女官は」と思われていた程の中性的な顔立ちで、彼の美しさを表現するために「天女」という言葉が用いられる程の美貌の持ち主。美しい顔と彼から発せられる言葉は毎度ながら面倒ごとを持ち込むため、猫猫はいつもイヤそうな表情で対応しています。

高順(ガオシュン)

壬氏の付き人。大柄で凜々しい顔つきなため、初対面の猫猫に武官かと勘違いさせるほどの体格に恵まれた男性です。普段の業務に忙しい壬氏に変わって猫猫のサポートをする機会が多く、その手際の良さから切れ者であることが伝わってきます。実は壬氏が幼少期の頃から共にいるため、彼の性格に振り回される苦労人な一面も。

4人の妃

後宮は主に上級妃・中級妃・下級妃という3種類の妃がいます。特に上級妃はたった4人しかおらず、帝と子を成す重要な存在であるため、物語を読み進めていく上で確実に抑えておかなければいけません。

玉葉妃(ギョクヨウひ)

翡翠宮に居を構える妃。皇帝との間に成した子が存命なこともあり、他の妃と比べて帝の寵愛を受けています。その子の命の危機を助けられたことをきっかけに、猫猫を侍女として迎え入れました。朗らかで穏やかな印象を与える妃である一方で、猫猫を含めても自身の側に置く侍女は5人と、根底には用心深さが伺えます。その分身内に引き入れ後の面倒見は良く、壬氏にちょっかいを出される猫猫に度々助け船を出す優しさを持ち合わせている妃です。

梨花妃(リファひ)

水晶宮に居を構える妃。皇帝との間に男児を授かるも、お世継ぎの連続死事件の被害者となり他界してしまいます。その後げっそりと痩せ細り塞ぎ込んでしまうものの、皇帝の依頼を受けたて水晶宮を訪れた猫猫の看病により体調が回復しました。その後に皇帝から愛を受けるきっかけを伝授してもらったことで、猫猫に信頼感を表すようになります。

里樹妃(リーシュひ)

金剛宮に居を構える妃。年齢は僅か14歳と妃の中でも一際幼く、少女のような可愛さを秘めている上級妃です。しかし精神的に幼いが故に、帝からも侍女からも他の上級妃とは異なる扱いを受ける場面もしばしば。苦手な食べ物が多く、そのことを極端に気にしている様子です。

阿多妃(アードゥオひ)

柘榴宮に居を構える妃。上級妃の中では最年長の35歳で、帝との間柄は妃というより幼友達として精神的な支えとなる立場にいます。かわいらしい上級妃たちの中では珍しく、美形と評するのが適したほど整った顔立ちです。性別が違えば女性からの好意を一身の受けてもおかしくないような美貌を持ち合わせており、その聡明で美しい顔立ちは、どこかの文官を彷彿とさせます。

覚えておきたい用語

『薬屋のひとりごと』では普段聞き慣れない用語が数多く飛び交うため、ストーリーを理解するのが少し難しいです。何度も前巻を振り返って確認せずに良いよう、作品に登場する重要な用語をご紹介いたします。

後宮

宮殿の中でも、帝が子孫を残すために区別された女の園です。不用意に波風を立てることのないよう、皇帝とその血縁者、それに宦官のみが立ち入りを許されています。猫猫は花街で暮らす庶民でしたが、後に下女(雑用係)として後宮で働くようになりました。

侍女

上流階級の婦人の世話を行う女性。宮の掃除からお使い、妃の身支度まであらゆる雑用をこなします。本作では侍女の数が多いほど妃の権威を表すのですが、数を増やすほどリスクが高まるという側面もあるため、用心深い妃ほど不用意に侍女を雇い入れません。

宦官

事情により去勢を施された男性。身分の高い者の世話を行うことが役目です。扱いとしてはそこまで良いという訳ではなく、現実の歴史を辿れば奴隷のような扱いであったという解釈もあります。それでも、後宮に出入りする役人になるための手段として進んで志願される場合もある特殊な存在です。

貴妃・賢妃・淑妃・徳妃

それぞれが上級妃に与えられた位を表します。玉葉妃が貴妃、梨花妃が賢妃、阿多妃が淑妃、里樹妃が徳妃です。普段はそれぞれ名前で呼ばれますが、園遊会などの畏まった場では位で呼ばれることがあります。

武官・文官

武官は、軍人にあたる存在で、それ以外の官吏は文官として扱われます。

名言

これ 毒です

引用元:『薬屋のひとりごと』第2巻P.130より 

こちらは『薬屋のひとりごと』第2巻のP.130に登場するセリフです。

猫猫は能力を見出されて玉葉妃の元で雇われる運びとなりましたが、その立場は毒味役。つまり、妃に出される料理を先に食して毒が入っていないか確かめる捨て身の存在です。食事に毒が入っていれば、最悪の場合は死に至る可能性もある立場から繰り出されたこのセリフは、読者に衝撃を与えたという意味で間違いなく本作の名言と言えます。

イベント情報

小説第9巻の発売を記念し、池袋メンズボックスにて期間限定で「薬屋のひとりごとカフェ」が開催されました。

開催期間は2020年3月20日〜4月19日までであり、現在は終了しています。しかし、コラボカフェにて販売された限定グッズの通販が2020年9月10日より開始しているため、イベントに参加できなかった人もグッズ購入により雰囲気を味わうことが可能です。

受賞歴

『薬屋のひとりごと』は「次に来るマンガ大賞2019」のコミックス部門にて1位を獲得しています。2019年のノミネート作品には現在も人気が上昇し続けている有名作品や、アニメ化に至った作品が多く、激戦区を勝ち抜いた期待の作品として注目を集めました。

原作情報

『薬屋のひとりごと』は「小説家になろう」という小説投稿サイトに投稿された日向夏先生の小説が原作です。現在はヒーロー文庫で文庫本小説として最新第9巻まで出版されています。

作者情報

  • 原作者:日向夏

  • 作画:ねこクラゲ

  • 構成:七緒一綺

  • キャラクター原案:しのとうこ

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