シリーズ累計1億部突破という快挙を成し遂げた金田一少年シリーズ。これだけ大きな結果が出せたのは金田一の活躍のみならず、綿密にトリックを作り上げた犯人たちの苦労があったことは間違いありません!
「こんなトリック、本当にやれるのかなぁ」と思いつつも、金田一の謎解きにくぎ付けになった人も多いはず。『金田一少年の事件簿外伝 犯人たちの事件簿』は、トリックづくりの裏側を暴露した最高に笑える外伝。これはもう絶対に読み逃せない!
怪しすぎる包帯男登場(即バレ)
「オペラ座の怪人」に見立てて行われた「オペラ座館殺人事件」。ニセの犯人をでっちあげるところからこの事件のトリックづくりはスタートします。
どう見ても怪しい彼は、そもそもホテルにチェックインなんてできるのか。
読者全員思ったやつ、「怪しすぎる」。それでもなんとかチェックインしてホテルの部屋に細工をします。
む、難しい。怖い感じで壁に文字を書く経験が、高校生の犯人・有森裕二にはなさすぎました…!何度か怖そうな文字の練習をしてそれっぽいのを書き、窓からホテルを抜け出します。
ゴムボートってそんなにするんだね。こんなに大変でも途中で挫折しないところに、どうしても殺害したい!という彼の強い意志を感じます。
頑張ったトリックの粗を人前で指摘される屈辱に耐え…
小芝居を挟みつつ、脱出用のクルーザーを沖へ流し、本物の悲鳴を消すためのベルを鳴らし、照明のワイヤーを切って日高織絵を殺害し、舞台の緞帳を上げて何食わぬ顔で現場に現れる。…という大変な作業をしてようやく第1の犯行を終えたにも関わらず、金田一に瞬殺で見抜かれるという苦行に耐える有森くん。
しかし、ここでめげずに第2の犯行、桐生春美の殺害に向かいます。と思ったら、実際に行うには、だいぶ大変な計画だったことに気づいてしまいます。
んで、こうなる。
大雨の中、超苦労してようやく結び付けました。
有森くん、もう普通の高校生とは思えない身体能力を発揮。それだけこの犯行に本気なんでしょう。残す殺人はあと1つ!しかし、アクシデントで先生を殺害してしまいます。仕方なく、先生を水死させたように見せかけようとするんですが…。
「見立て殺人」という割と無理ゲーな計画を立ててたばかりに、見立てるための仕事が増えまくりなんです。そもそも、3つで終わるはずだった犯行が、このうっかり殺人のおかげで増えちゃいました。これじゃもう「オペラ座の怪人」の見立てにもなってません。しかし、有森くんも諦めない!
犯人の本当の気持ちの吐露を読んでいると「そうだよね、大変だよねこれやるの」と思わず共感したくなってしまう『金田一少年の事件簿外伝 犯人たちの事件簿』。金田一シリーズ1億部突破の快挙は、彼らの努力なしにはなしえなかったことです。37歳になって再び犯人と対峙することになった金田一を欺く犯人は、果たして現れるのか!?
犯人さんたち、がんばって!