『青野くんに触りたいから死にたい』はアフタヌーンにて連載中の椎名うみ先生の作品です。ホラーなのか?ラブコメなのか?ジャンル分けできない新感覚を味わうことができます。
ホラーの部分は可愛らしい絵柄からは想像もできないほどに、身の毛がよだつくらいに恐ろしいです。それでいて、触れられない死者との恋愛は切なく、狂気的とも言える純愛が読者の心を打つ、そんな二面性もしくはそれ以上の顔を持った作品なのです。
あらすじ
高校2年生の優里は、ぶつかった時に本を拾ってくれた青野くん(初めて喋った男子)に暴走気味な恋心を抱き、自分のことをもっと知ってもらおうと告白します。
まさかのOKをもらい付き合い始めた二人ですが、付き合って2週間の幸せ絶頂の時に青野くんは事故で亡くなります。最愛の彼を無くし自分も後追いで死のうと思った優里。自殺を止めたのは幽霊となった青野くんでした...。
生者と死者は絶対に触れ合えない
作品のタイトルにもあるように、青野くんの死を受け止められない優里は青野くんに触りたいから死にたいと叫びます。
生者と死者の間には絶対に越えられない溝があり触れることは叶わない。テーマにもなっている「触れる」ということは、愛を伝える手段でもあり、生きている証でもあります。お互いに触れられない二人ですが、携帯で誰かと話すフリをして会話をし、部屋で一緒に映画を見たり、デートに出かけたりと幸せそうな日常が描かれています。
ただ幸せそうであればあるほど、周りからは見ることができず、触れ合うこともできない絶対に結ばれない生者と死者であるという事実に読者は胸が締め付けられます。
青野くんの悪霊化が純愛を生む
亡くなった恋人が幽霊となって現れる設定は数多くの作品であると思いますが、この作品が特徴的なのは、青野くんが悪霊化することがあるところ。悪霊化した青野くんは入ることを許可してしまった者の身体に憑依したり、何かを解決する為に代償を得ようとします。この設定があることで青野くんの親友、藤本を巻き込みそれぞれが葛藤に苦しむことになります。
悪霊にさせずに成仏させてあげたいと願う藤本
たとえ悪霊となってもそばにいるだけで良いと願う優里
優里を傷つけていることに悩み、藤本と幸せになって欲しいと願うが受け入れられない青野くん(優里に憑依して藤本と話をしているシーン)
お互いのことを想いやっているが故に純粋すぎる願いは時にぶつかりあい、傷つけたくない、でも離れたくないという葛藤があるからこそ純愛が生まれています。
怖い...けれど読み進めずにはいられない!
純愛をベースに伝えましたが、このマンガのベースはホラーでもあります。シュールなギャグで笑っていた日常に突如として現れるホラーシーンには鳥肌が立ちます。
一見、優里の言い間違いのように思えるこのシーンの恐ろしさは是非本編を読んで体験してください。
物語が進むに連れて青野くんの悪霊化のきっかけは何か、幽霊となって現れた理由等が仮説検証を繰り返しながら少しずつ解き明かされていきます。そして、二人の切な過ぎる純愛の結末はどうなるのか?怖いけれど、ページをめくる手が止まらなくなること必至でしょう。
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