響〜小説家になる方法〜

柳本光晴/著

天才小説家は可憐な女子高生?自分の信念を貫く響の姿に目が離せなくなる『響〜小説家になる方法』 

『響〜小説家になる方法』はビックコミックスペリオールで2014年から現在も続刊中の柳本光晴先生による小説を題材にした作品です。2017年マンガ大賞受賞作品であり、2018年には欅坂46の平手友梨奈さん主演で実写映画化され話題になりました。さらに2019年小学館漫画賞受賞一般向け部門も受賞されています。

響~小説家になる方法~
柳本光晴/著

響~小説家になる方法~(1) (ビッグコミックス)
柳本光晴/著

響とは何者なのか?

出版不況に喘ぐ小論社編集部に送られてきた一本の小説。長らく低迷していた文壇界に風穴を開ける衝撃の作品に騒然とする関係者達。しかもその小説を送ってきたのは若干15歳、高校1年の女子高生である鮎喰響。後に響はこの作品で史上初の直木賞&芥川賞W受賞という快挙を成し遂げます。


物語を通して、響とは何者なのか?どうして皆が響の一挙手一投足にこんなにも惹きつけられるのか?この謎を解き明かしていくことがこの作品を読み進める上での一つのポイントに挙げられます。

突き抜けた才能と、ブレない芯の強さ。皆本当は、響みたいになりたかった

響は常に自分の感覚を信じています。物事の判断基準は全て自分。面白い小説を愛し、自分がつまらないと思う小説にはとことん厳しい。一見響は気難しい人間なのか?と思ってしまいますが、何故か響の周りにはいつも誰かが居るのです。

きっとそれは、響が徹底して嘘をつかないことを信条としているからではないかと思うのです。言葉は厳しくても、常に本音で相手と対峙する。響はそうすることが1番大切なのだと本能的に判っているのです。本気でぶつかってくる、その真っ直ぐさが心地よい。そうやって生きていくことがどれだけ困難な事か。だからこそ響の存在は、尊いのです。

響という稀有な存在を目の当たりにして、僕たちはどう生きるか

この作品は「鮎喰響」という稀有な存在を、恐らく読者の大半は凡人である筈で、彼女を只の理解不能な天才として捉えるのか、響が大切にしている信条を彼女の言葉や行動の端々から感じ取って読み進めて行くのかで受け取る印象も大きく変化する作品だと感じました。

でも、いくら僕達がうじゃうじゃ考えたところで、響は「私は私よ」と軽く答えて終わりにしてしまうと思います。響から見た自分は一体どう見えるのか。

もし響と会うことが出来たら、自分は興味を持ってもらえるのだろうか。マンガを通して自分の生き方まで考えてしまうような、響の放つ圧倒的で底知れないパワーを、是非作品を通して感じ取って楽しんでいただきたいです!

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