鬼滅の刃

吾峠呼世晴著

『鬼滅の刃』吾峠呼世晴原画展をレポート!六本木ヒルズ森アーツセンターギャラリーでその世界観に没頭

2021年10月26日(火)~12月12日(日)に、六本木ヒルズ森タワー52F・森アーツセンターギャラリーにて開催された『鬼滅の刃』吾峠呼世晴原画展。開催決定時より多くの注目を集め、その反響の大きさから日程は全日抽選制。開催期間を通して終始大盛況となった本原画展の様子を、今回はレポートしたいと思います!

日本中で大ヒットとなった映画、そして待望のアニメ2期が放送開始ということもあり、連日多くの人が訪れた本原画展。今回東京会場での開催は全日程が終了していますが、来年2022年7月14日(木)~2022年9月4日(日)に大阪での開催も予定されています。

東京会期中に行けた!という人も、抽選が当たらなかった…という人も。あるいは最初から大阪会期を目当てにしている!と言う人も、ぜひぜひ本レポートから会場の空気感を感じ取って頂ければと思います♪

『鬼滅の刃』に込められたテーマを紐解く…本原画展の軸ともなる思いとは

今や国民的作品ともなっているマンガ『鬼滅の刃』。大人から子どもまで幅広い世代の方に愛される本作について概要説明やあらすじ解説はもはや不要、という方もきっと多いはず。ですがこの原画展を語るに当たって、本作の最大の魅力であり作品の軸ともなるテーマについては、簡単にですが触れておく必要があるかもしれませんね。

鬼の始祖を滅するべく、妹を鬼にされた少年が刀を握る物語『鬼滅の刃』。すでに多くの場所でも語られているように、この作品の根幹は最初から最後まで『受け継ぐ』というテーマが徹底されている物語でもあります。

人々の生活を脅かす、鬼という存在をこの世から滅するために。一千年以上続く鬼と『鬼殺隊』との戦いに終止符を打ったのは、たった一人の少年の刃ではなく、遥か昔より連綿と受け継がれてきた多くの人の思いでした。

鬼を倒し、大事な人がもう二度と悲しまなくていい世界を作りたい。数多の人々のそんな優しい思いを『受け継いで』きたことが、この『鬼滅の刃』という物語の大きなストーリーの軸ともなっています。本作に登場する、多くの魅力的なキャラクターたち。彼らがそれぞれに誰かから受け継いできたもの、そして誰かに受け継いでいくもの。それらにフォーカスを当てる形で、今回の原画展は多くの作品展示が行われています。

連日大勢が訪れた原画展…ずばり押さえておきたいそのポイントは?

そんな本展示のテーマを頭に置きつつ、早速原画展の紹介をしたいところですが…その前に。実は今回の原画展は、六本木の最寄り駅へ降り立った時からすでに始まっていました。六本木駅周辺、そして会場の六本木ヒルズのあちこちには、なんと今回の原画展の大きな告知ポスターも掲示されていた様子。この告知ビジュアルを写真に収めているファンの姿も、周辺では多く見受けられました。

会場に到着すると、今回の原画展のイメージビジュアルともなる炭治郎と禰豆子のイラストが来場者をお出迎え。また入口では来場者特典として、訪れた人全員に吾峠先生描き下ろしの可愛いイラスト色紙も配布されています。

展示エリア内は残念ながら写真撮影は基本的に禁止。そのため公式情報からの引用も交えつつ、ここからはずばり本展示のポイントともなった部分をピックアップ!『鬼滅の刃』の世界観を120%満喫できる、今回の原画展の魅力をご紹介していきたいと思います。

ポイント1:鬼滅の世界に没頭…テーマごとに8つの展示エリアを展開

まず最初のポイントは会場の展示エリアについて。大きく8つに分けられたエリアではそれぞれ『鬼滅の刃』の物語を辿るエリアや、登場する人物を所属ごとに特集したコーナーなども作られていました。

フォトスポットがメインの『序章 煌 ~不滅への旅立ち~』から、竈門兄妹と炭治郎の同期である4人を中心に特集した『壱ノ章 絆 ~兄と妹、そして仲間たち~』。『弐ノ章 鬼 ~人の果て、悲しみの果て~』では鬼舞辻無惨を始めとした鬼たち、そして『参ノ章 柱 ~絶対なるその呼吸~』では鬼殺隊の主力・柱たちの原画がメインでピックアップ。

『肆ノ章 繋 ~全てを懸けて~』以降は、物語本編のストーリーの流れを意識した構成で様々な原画を展示。『伍ノ章 刻 ~千年の夜明け~』では最終戦となる無限城戦を、そして『終章 継 ~幾星霜を越えて~』では最終話となる「幾星霜を煌めく命」の原画が公開されていしました。

まるでマンガ本編をじっくり読んでいるかのような展示形式で、筆者自身も気づけば滞在時間は3時間半!非常に濃密で没入感の高い空間作りが為されており、改めて『鬼滅の刃』という作品が大好きだと思えるような、そんな原画展ともなっていました。

ポイント2:30センチの距離で鑑賞!吾峠先生の生原稿の迫力を感じて

そして原画展の何よりの見どころでもある、吾峠先生の直筆原稿を生で見られる点!最近の漫画家さんとしてはかなり少数派でもある、完全アナログ原稿での執筆を終始貫いた吾峠先生。本原画展ではそんな先生の一筆一筆の動きすら見えるような、本当の生原稿が多数展示されています。(近年はデジタルでマンガを執筆する先生も多いですし、もしかしたらこんな形の原画展というもの自体も今後は少なくなるかもしれませんね…)

展示原画を30センチの距離でよくよく見てみると、迷いなく引かれた描線だけでなく、たくさんの修正跡や原稿の指示コメントなども随所に見受ける事ができます。「このシーン、がっつり描き直しが入ってる!」「下絵があるとはいえ、こんなに複雑で難しい絵を修正なしで!?」など、様々な発見や驚きと共に作品を観覧できるのは、やはり原画展ならではの楽しみ方です。

また吾峠先生の原稿に圧倒されるのは、なによりもその緻密で膨大な描き込み量。初期の原稿にはトーンが使われた形跡も少なく、細かな戦闘シーンや感情を表す線、洋服の柄のなどが全て先生自身の手で描かれたことがよくわかります。それもまた鬼という存在が登場する本作のおどろおどろしさにも拍車がかかっており、先生の熱意に改めて感動する点ともなっていますね。

ポイント3:会場内すべてが展示物!立体物や壁全体にも作品を展示

また今回の原画展は、単純に先生の描かれた原画のみが淡々と展示されているわけではありません。各キャラクターを紹介するエリアやスポットには、文字通り壁一面に該当キャラの登場するコマやシーンが所狭しと描かれています。会場内には一定間隔でスタッフさんもおり「壁面も各所展示となっているため、もたれかからないよう注意して下さい」というアナウンスが入る徹底っぷり。

そして展示エリアによっては、立体物を使っての作品展示が行われている場所も。様々な告知で紹介された柱の呼吸を表現したオブジェのみならず、鬼のエリアではボードの表に鬼の原画を始めとした紹介、裏に彼らが人間であった頃のエピソードが描かれるといった、非常に作品愛にあふれた演出も。文字通り鬼と人間という存在が表裏一体であることを、何よりも如実に表した素晴らしい展示ともなっていました。

ポイント4:原画展の醍醐味!連載後初解禁の情報や描き下ろしカットも

さらに今回の原画展では、連載から1年半以上の歳月が経った今初めて解禁された新情報も話題となっていましたね。多くの読者が気になっていた炭治郎の師匠・鱗滝さんの素顔や、最終話にて吾妻家の子孫が読んでいた「善逸伝」の内容、そしてお館様こと産屋敷耀哉の兄弟の話なども本邦初公開。

そして今回の展示のために、吾峠先生が書き下ろしたイラストの数々も注目を浴びていました。竈門兄妹のイラストはもちろん、本編では終ぞ描かれることのなかった蛇柱・伊黒&恋柱・甘露寺の仲睦まじい2ショットに思わず目頭が熱くなったり、今まさに話題の炎柱・煉獄&音柱・宇髄の非常に貴重な2ショットにテンションが上がった、なんて方もきっと多いはず。

連載が終了してなお、長く大勢に愛され続けている『鬼滅の刃』。こうしてたくさんの人の声があるからこそ、今回こんなに大規模な原画展もきっと開催されたのでしょう。物語は一度終幕を迎えたものの、まだまだこれからも私たちを様々な形で楽しませてくれるに違いありません。

ここでしか手に入らない!レアアイテムがたくさんのグッズショップも充実

大ボリュームの内容で展開された原画展ですが、まだまだそれだけでは終わりません!今回展示と併せて、ここでしか手に入らないレアなアイテムも多数揃ったグッズショップも併設。マンガ内のインパクト抜群なコマが描かれたオブジェやキーホルダー、かわいいデフォルメイラストが描かれたお菓子に、なんと公式スピンオフ・キメツ学園のグッズまで揃った充実のショップともなっています。

中でも今回の展示原画が全て収録された原画展の画集は、ぜひ手に入れておきたいアイテムのひとつ。大阪会場を検討している方は、ぜひこちらも手に入れて頂きたいですね。

可愛くてボリューミーなメニューがたくさん!コラボカフェも大盛況

そして原画展の開催されていたビルの同フロアには、期間限定の『鬼滅の刃』コラボカフェもオープン!東京タワーを目の前に臨む抜群のロケーションで、鬼滅キャラをイメージした様々なカフェメニューが味わえます。

「竈門炭治郎のヒノカミ神楽ナポリタン」や「禰󠄀豆子の箱のフレンチトースト」、「善逸の雷の呼吸ドリンク」などなど。見た目も華やかでボリューム感も抜群のメニューを求めて、幅広い世代の人々が食事を楽しんでいました。

まだ間に合う!大阪開催は2022年7月14日(木)から!

原画展示のみならず、グッズやコラボカフェも満載の充実した内容となった『鬼滅の刃』吾峠呼世晴原画展。『鬼滅の刃』の世界観が大好きな人々にとっては、隅々まで『鬼滅愛』が込められた非常に嬉しい空間ともなっていました。

そんな本原画展、先述の通り東京会場での会期はすでに終了しています。ですが来年2022年7月14日(木)~2022年9月4日(日)では、グランフロント大阪での開催もすでに決定!東京会場には行けなかった、あるいはもう一度あの空間を体感したい!という方は、ぜひ大阪への来場も検討してみてはいかがでしょうか。

アニメ2期となる遊郭編も絶賛放送中の『鬼滅の刃』。まだまだ炭治郎たちの活躍から、今後も目が離せない日が続きそうです!